研究課題/領域番号 |
22K16549
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
川口 直 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (20908941)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪肝炎 / IL-6 / 類洞内皮細胞 |
研究実績の概要 |
肝類洞内皮細胞(Liver sinusoidal endothelial cell: LSEC)は肝臓の恒常性を保つために重要な細胞である。非アルコール性脂肪肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease: NAFLD)では初期の段階より肝類洞内皮細胞(liver sinusoidal endothelial cell: LSEC)が機能障害を受け、NAFLDの進行に関わっていることが報告されている。しかし、LSECの機能障害が誘発される機構や肝障害が生じる原因については不明な点が多い。また、NAFLD患者では血中IL-6濃度が増加していることが知られている。本研究では、NAFLDにおける、IL-6トランスシグナルを介したLSECの役割についての検討を行い、NAFLDの発症や病態進展への関与を検証することが目的である。 以下の実験を遂行している。 ①NAFLDやLSECに関する最新の文献を整理した。 ②NAFLDマウスモデルを作成し、血液検査、生化学的解析、組織学的解析などを行いIL-6トランスシグナル関連遺伝子の発現を評価した。 ③LSECの取り扱いは非常に難しいために、先にヒト臍帯静脈内皮細胞(Human umbilical vein endothelial cell: HUVEC)を用いて条件設定の実験を行った。HUVECに対して飽和脂肪酸(パルミチン酸)の負荷実験を行い、NFkBとIL-6/STAT3が同時に作用する際にIL-6及び炎症性サイトカインが相乗的に発現する炎症誘導機構『IL-6増幅機構』を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
LSECと培地の購入に時間がかかり、実験開始までに時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
NAFLDマウスモデルに対して電子顕微鏡を用いて、LSECに存在する小孔を観察しLSECの機能障害を反映する変化の評価も行う。また、HUVECを用いた先行実験によって確認した条件をもとにLSECによる実験を開始する。細胞からRNA及びタンパクを抽出し、HUVECと同様のNFkBとIL-6/STAT3が同時に作用する際にIL-6及び炎症性サイトカインが相乗的に発現する炎症誘導機構『IL-6増幅機構』をLSECにおいても検証する。またIL-6シグナルの下流にあるJak/STAT、MAPK経路などの遺伝子を好中球接着因子(ICAM-1)や好中球走化活性因子(CXCL1/2)を中心にRT-PCR、ウェスタンブロッティング法、フローサイトメトリーなどで解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進行状況が遅れており、物品購入などが未だできていないため次年度使用額が生じた。 次年度に、購入できていない物品をまとめて購入する。また現地開催による学会参加費用の増額が見込まれる。
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