研究課題/領域番号 |
22K16563
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
川本 尚紀 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (40800454)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 術後脳梗塞 / 経カテーテル大動脈弁置換術 / 外科的大動脈弁置換術 / STS risk score / 術後認知症 |
研究実績の概要 |
2022年2月15日から患者登録を開始し、低手術リスク(STS risk score 4%未満)の外科的大動脈弁置換術患者(SAVR群)14例、経カテーテル大動脈弁置換術患者(TAVR群)11例の登録を開始した。そのうち、SAVR群で心房細動が2例、頸動脈狭窄が1例判明し、術後完全房室ブロックでペースメーカー留置となった患者が1名でたため、4名がSAVR群から脱落した。TAVR群では、心房細動が2例、頸動脈狭窄が2例認められた為、4名がTAVR群から脱落した。結局、SAVR群10例、TAVR群7例の計17例の患者が術前、術直後のデータを登録することができた。SAVR群の患者は、平均年齢76.5±3.5歳、男性3例(30%)、平均BSA 1.6±0.2m2, 術前STS risk scoreは2.5±0.8、術前clinical frailty scaleは2.9±0.3点であった。術前Montreal Cognitive Assessment (MOCA)はSAVR群で24.8±4.0点であった。経カテーテル大動脈弁置換術群の患者は、平均年齢79.7±2.4歳、男性3例(43%)、平均BSA1.48±0.2m2, 術前STS risk scoreは2.7±1.1、術前clinical frailty scaleは3.0±0.6点であり、術前MOCAは20.8±3.5点であった。有意に経カテーテル大動脈弁置換術群の患者で平均年齢が高く、術前MOCAは低い傾向となった(p<0.01)。術後の頭部MRIで急性期脳梗塞の所見を認めたのは、SAVR群で3例(30%)、TAVR群で4例(58%)となり、TAVR群で多い傾向となった。術後3ヶ月でのMOCAはSAVR群で26±3.3点、TAVR群で22.4±2.1となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた患者数は、年間50例(SAVR 25例、TAVR 25例)であったが、実際にはentry段階でSAVR群14例、TAVR群11例であった。予想以上に、STS risk score 4%未満の大動脈弁狭窄症患者が少なかったこと、また、エントリー後、心房細動や頸動脈狭窄などの脳梗塞発症のリスクの高い患者群が相応にいたことで、結局SAVR群10齢、TAVR群7例に止まった。また、当院は日本全国から患者が集まっており、術後の外来フォローができない理由で、エントリーされなかった患者もいた。他にも、STS risk score 4%未満だが、術前の必要な検査が行うことができずに、対象から外れた患者も予想以上に存在したため、予想を下回る患者数となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、STS risk score 4%未満の大動脈弁狭窄症患者に対するSAVR, TAVR患者を抽出する。 今年度は、年間20-30例のSAVR, TAVR患者を見込む。緊急手術など、術前の検査期間が短い患者もできるだけ取りこぼさずに、各部署連携し、患者数を増やす予定とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、患者登録が伸び悩んだため、今年度に患者数が増加すると考える。それに伴う検査の人件費や雑費が増加すると見込まれる。
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