研究実績の概要 |
日本では肺移植の平均待機期間は2.5年で、待機患者の41%が移植の機会がなく死亡しており、ドナー不足は未だに深刻な問題である。その解決策として、心停止後に臓器を提供する心停止ドナー(Donation after Cardiocirculatory Death donor; DCD donor)からの臓器提供が期待されている。脳死肺と異なりDCD肺は心停止前後に肺に不可逆性の虚血障害が生じる場合があり、DCDドナー肺の移植は、ドナー体内において肺障害の評価ができないことが大きな障壁の一つとなって本邦では実現されていない。一方、DCD腎移植は既に行われており、心停止ドナーの中に移植可能な肺が存在することが予想される。今回申請者は心停止後ドナー肺を摘出することなく、ドナー体内に肺閉鎖灌流回路を設置しドナー肺の機能評価を行うCardiopulmonary normothermic regional perfusion (CAnRP)法を考案した。現在はコントロール群であるEVLP群の実験プロトコールはすでに確立してる状況で、実験群の回路CAnRPの技術的確立とプロトコルの至適条件設定にむけて,研究施行中である。
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