研究課題/領域番号 |
22K16582
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
肥塚 智 東邦大学, 医学部, 助教 (10749378)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 血中循環腫瘍細胞 / 肺腺癌 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
近年、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤の普及により肺癌の治療は進展したが、死亡者数は増加している。腺癌は最も多い組織型であり、小型肺癌が増加し、縮小手術も行われているが、再発をきたす症例も経験されるため、治療成績の改善が望まれる。これまでの研究で2cm以下の小型肺腺癌切除例についてCT画像と病理組織所見の多様性・腫瘍内不均一性及び予後を解析し、小型であっても腫瘍内部は多様な病理組織成分から構成され、不均一であることを示した。本研究では、不均一性を克服しうるバイオマーカーとして循環腫瘍細胞circulating tumor cells (CTC)に着目した。癌細胞は、上皮間葉転換(Epithelial-to-mesenchymal-transition:EMT)により浸潤能や転移能を獲得することで血液中に侵入し、様々な環境に適応可能となる多様な表現型を有するCTCとなる。本研究では、肺腺癌に対し外科的治療を施行する症例を対象にCTCを解析し、肺切除検体の病理学的所見や分子生物学的所見、臨床学的因子及び予後との相関を検討し、肺腺癌の予後改善に寄与する基盤を構築することを目的としている。2022年度は、CTCや分子生物マーカーに関連する学会に参加して、CTC検出方法やCTCの表現型・切除検体の分子生物学的マーカーについて最新の情報収集を行い、研究成果を得るのに有用なCTCの解析方法や分子生物学的マーカーについて検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で研究活動への支障が生じ、学位取得が遅れたことにより、交付申請が10月と遅くなった。また、CTCは血中に微量しか存在しないため、検出が難しい。小型肺腺癌におけるCTC解析に関する報告は少なく、適切な検出方法の確立が重要となる。また、癌の浸潤、転移には様々な機序が関連しており、研究成果につながる最新の知見を得た。CTC検出方法やCTCの表現型・切除検体の分子生物学的マーカーについて最新の情報収集を行い、研究成果を得るのに有用なCTC解析方法の検討が主体となり、やや遅れていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
東邦大学医学部倫理委員会へ研究計画書を提出し承認を得た後、対象症例について臨床情報を収集し、CTCや肺切除標本の解析をすすめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)2022年度に予定していた研究は血液中に微量しか存在しないCTCの適切な解析法やバイオマーカーの検討が中心となったため、検査費用が支出できず繰り越しとなった。 (使用計画)免疫染色やCTC解析に必要な検査やデータ解析の費用として、またその研究成果を報告する論文作成費用等に使用予定である。また、検査やデータ解析を効率よく行うために研究補助員を採用し人件費を捻出する予定である。
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