研究課題/領域番号 |
22K16583
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
小原 秀太 近畿大学, 大学病院, 助教 (20813926)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Circurating tumor DNA / 肺癌 / TEP / 再発 / 予後因子 / 手術 |
研究実績の概要 |
肺癌手術後の再発予防に、病理病期の進行例では術後補助化学療法を行うが、5年生存率を約5%改善するにとどまる。術後再発は、術前に検出できない腫瘍残存病変 (minimal residual disease:MRD)が後に顕在化するためであり、補助療法の適応はMRDを考慮すべきである。circulating tumor DNA (ctDNA)アッセイを用いて、術後再発のリスクを評価できることが報告されているが、患者の多様性や低感度などの問題があり、実用化にほど遠い。本研究では、最新のctDNAキットや、tumor educated platelets (TEP) の検出を用いることで、MRDをより正確に検出し、術後再発をより早期に予測可能な動的マーカーの同定を試みた。 ctDNA研究では、近畿大学病院における臨床病期IIA期以上の非小細胞肺癌患者を対象として、同意取得後に血液サンプルの採取とSignateraによるctDNAの解析を行い、手術直後のctDNA陽性が再発リスクの高い患者を同定出来ること、および手術直後のctDNAが陰性であっても、一部の患者では経過中の血液検査で陽性に変わる場合があり、画像よりも早く再発の検出が出来る可能性が示された。 TEP研究でも同様の臨床背景の患者10名と健常者を対象として検討をおこなった。術前・術後患者の血小板RNA、健常者の血小板RNAを分類すると、患者検体が多く含まれる T クラスターと健常者検体が多く含まれるNクラスターの2つに分類された。術後検体のうち、再発症例3例はTクラスターに、非再発症例は4例中2例がN クラスターに分類され、TEPを併用することで術後再発予測の感度が向上する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ctDNAの解析に関しては概ね結果が出ているが、すべて出揃ってはいない。TEPの解析においては検査方法自体をやり直していたため、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
SignateraによるctDNA解析がすべて完了した時点で論文執筆の予定である。TEPに関しては予定していた患者の採血は終了し現在解析中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
TEPの解析では検査方法自体を見直した方が良いと思われ、やり直しをしていたため当初の予定より研究が遅延し予算が残った。 一方ctDNAの解析においては研究チームが効率的に経費を使ったため解析費用が想定していたよりも安くなったため、予算が残った。
このため余った経費は次年度に繰り越しより良い研究にするため使う。
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