研究課題/領域番号 |
22K16600
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 威仁 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (10638258)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | マクロファージ / 硬膜 / 肥満細胞 / Macrophage / Dura / Mast Cell |
研究実績の概要 |
脳を包む髄膜のうち、硬膜組織には近年新たにリンパ管の存在が明らかとなったことや、脳硬膜血管周囲にマクロファージが存在する事が報告され、その生理学的意義に関し検討が行われてきている。マクロファージは貪食能をもつ白血球細胞の一種であり、抗原提示やサイトカイン産生などの炎症反応に関連する細胞である。近年、硬膜の炎症が脳実質に影響を及ぼし行動学的に影響を及ぼす可能を示唆した報告がなされ、脳実質と脳硬膜との相互的な関連が示唆されている。 本研究では、脳硬膜マクロファージがせん妄発生機序と関連するという仮説を立て、せん妄モデルマウスを作成し、せん妄発生の関連並びに予防、治療に関し検討することを目的として行われるものである。 せん妄モデルマウスに関しては、LPSを投与するモデルや術後せん妄モデルマウス(開腹術後モデル)の可能性に関して行動学的評価を行っている。そのうえで、マウスを灌流固定し硬膜を採取したうえでCD206,CD31といった抗体を用いで免疫染色を行い、せん妄モデルマウスにおける脳硬膜のマクロファージの形態学的変化や生化学的変化に関して関連を探っていくことで、せん妄の発生機序の解明を目指すものである。。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
折からのCOVID19 Pandemicの影響もあり、研究者の時間的な余裕が取れず、また研究機材などがうまく調達できなかったことで研究環境が整わなかったことで当初計画していた実験計画が予定通りに遂行できなかった。 初年度は以前に行った研究データ(大学院時代のデータ)の確認とせん妄モデルマウスの作成に関する文献検索を含めた研究計画の立案、使用する抗体の購入並びに関係学会での情報収集を行う事にとどまった。2023年になり、マウスを用いた実験開始のめどが立っている段階である。 よって、やや遅れているという区分となった。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験開始のめどが立ったため、昨年度にまとめたデータをベースとして、次年度はマウスを用いての行動学的検討ならび組織学的検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はCOVID19 Pandemicの影響もあり、当初予定していた研究が計画通りに遂行できず、実験の準備段階にとどまっている状況である。そのため試薬などは購入したが、使用する予定であった科研費の残額が生じる結果となった。 しかし、次年度からはすでに行動学的実験を開始するめどは立ち、実験を本格的に開始する予定である。そのため本年度の科研費における次年度使用額が発生した。 次年度使用額は本年度に購入できなかった資材を導入するためなどに使用する方針である。
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