研究課題/領域番号 |
22K16604
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中村 真吾 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (80939041)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アセトアミノフェン / 下行性痛覚修飾系 / AM404 / セロトニン |
研究実績の概要 |
ホルマリンテストを用いて、アセトアミノフェン経口投与とAM404脳室内(ICV)投与を行い、用量反応を確認し、両者において抗侵害効果を確認できた。抗侵害効果を有するアセトアミノフェン1000㎎/kg、AM404 3000μgを用いて脊髄5-HTの放出をマイクロダイアリシス法で確認した。 アセトアミノフェン経口投与とAM404 ICV投与は、ホルマリン皮下注を行うかどうかに関わらず、脊髄5-HT放出を誘発することが分かった。しかし、5-HT放出量はホルマリン皮下注群のほうが、ホルマリン非皮下注群と比較して大きく、ホルマリン皮下注という侵害刺激入力がアセトアミノフェン経口投与とAM404 ICV投与による脊髄5-HT放出を増幅させることが示された。 5-HT1A受容体拮抗薬と5-HT7受容体拮抗薬を脊髄くも膜下腔に投与後、アセトアミノフェン経口投与とAM404 ICV投与の抗侵害効果を確認した。アセトアミノフェン経口投与では、部分的にまた同等に5-HT1Aと5-HT7受容体拮抗薬で拮抗された。AM404 ICV投与では、完全に5-HT1A受容体拮抗薬で拮抗されたが、5-HT7受容体拮抗薬では拮抗されなかった。 以上のことからアセトアミノフェン経口投与による脊髄5-HTとAM404 ICV投与による脊髄5-HTは、ともに抗侵害効果に関与するが、5-HTの役割が異なることが示唆された。 アセトアミノフェン経口投与とAM404 ICV投与が脊髄5-HT放出を誘発する正確な機序について今後検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた実験についておおむね遂行することができている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究ではAM404を脳室内投与し、脊髄上でのAM404の機能を観察している。今後は脳幹部にある5-HTの供給源と推定される神経核群に直接AM404を微量投与し脊髄5-HTの推移を観察することを計画している。これにより、AM404とアセトアミノフェンが脊髄5-HT系にどう関与しているか検討をすすめる。 COVID-19パンデミックにより学会発表ができていない。今後は、国内・海外学術集会での報告を行い、他の研究者とディスカッションを行うことで本研究の問題点を抽出し、改善に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属施設に既存の資源を用いて研究を遂行できたため。また、COVID-19パンデミックにより国内、海外での学会発表を行うことを忌避したため予算が執行できなかったため。
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