奈良県立医科大学で予定されたロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術を受ける患者54名を対象に、Nociception Level(NOL)を指標に術中レミフェンタニルを調整する介入群と、当院で行われる通常の麻酔管理を行う対照群に無作為化し、検討を行った。NOLを指標に調節したところ、対照群と比較して術中レミフェンタニルの使用量を20%節減できた。また、ストレスマーカー(IL-6、コルチゾール、CRP)は両群で有意差はなかった。術後の痛みに関しては安静時の痛みは術後2時間の時点でのみ介入群が低かったが、体動時の痛みは術後3日目まで介入群で有意に低かった。 オピオイドによる痛覚過敏(opioid-induced hyperalgesia)を予防するためにオピオイド節減(opioid sparing)もしくはオピオイドフリーの麻酔の必要性が叫ばれているが、本研究ではその時々の侵襲度で調整するmoment-to-moment controlの概念、つまりopioid titration(オピオイドタイトレーション)が主流になるかもしれない点を示唆した。 また、日本では侵害受容モニターは1種類のみしか使用できないが、PMD-200で表示されるNOLの指標の有用性も示し、今後、本邦でも安全に使用できることを示した。
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