今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、「炎症・ストレス刺激により誘導されるグルコース受容体を発現する細胞(Glu-細胞)は、高グルコース環境下での活性化を介して上皮バリア機能の破綻を誘導し急性呼吸促迫症候群(ARDS)を惹起するかを明らかとする」ことである。次年度は、以下の点について検討を行う。① LPSによるARDSモデルマウス肺を採取し、細胞膜に発現しているグルコース受容体に対する抗体を蛍光蛍標識しFACSによりGlu-細胞を単離する。②Glu-細胞における炎症性サイトカイン(TGF-α, IL-6, IL-8, IL-10, IL-12, IL-17, IL-21, IL-1β, INF-γ)の発現について免疫組織化学及びFACSにより発現解析を行う。また、既存のARDSに関与する細胞であるか比較検討する。③上述の肺障害組織におけるGlu-細胞において、インフラマソーム活性化が生じているかNLRP3、Caspase-1、IL-1bの変化をウエスタンブロッティング法(WB)、免疫組織化学的手法(IHC)にて検証する。④制御性T細胞(Treg;Th1/Th17)の異常がARDSの発生に関わる事が報告されている。LPS誘導性ARDSモデルマウスにおいてTh1/Th17細胞が増加しているかそれらの細胞を単離し検討する。⑤グルコース受容体の阻害剤あるいは発現抑制を行いLPS誘導性ARDSモデル肺障害が抑制されるか検討する。⑥グルコース投与や高血糖を起こす糖尿病モデルマウス(高脂肪食摂取/ストレプトゾトシン投与モデル)を用いてARDSモデルを作成し、その障害の重症化に対する影響を精査する。
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