• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

痛覚プライミングによるモルヒネ誘発術後慢性痛の発症メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 22K16614
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

堀井 靖彦  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90882720)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードモルヒネ誘発性術後慢性痛 / 痛覚プライミング / EPAC
研究実績の概要

術後痛が3ヶ月以上持続する病態を術後慢性痛と呼び、手術を受けた患者の10-40%に治療が必要な術後慢性痛が生じている。術後慢性痛は、術後の生活の質に悪影響を及ぼし大きな社会問題となっている。術前のオピオイド使用が術後慢性痛の危険因子であることが証明されているが、そのメカニズムは解明されていない。
本研究は、オピオイドが痛覚プライミングを誘発し、術前に痛覚プライミングの状態にあることが術後痛の慢性化を引き起こすのではないかと考え、その機序を明らかにすることを目的とする。痛覚プライミングとは、一次知覚神経の侵害刺激応答が変化し、一過性の刺激 に対して長期的な痛覚過敏が持続する現象である。我々は、モルヒネの連続投与が痛覚プライミングを引き起こすモルヒネ誘発痛覚プライミングを作成し、この状態に足底切開モデル を作成することで、足底切開後の痛覚過敏が慢性化するモルヒネ誘発術後慢性痛モデルを確立した。同モデルにおいて、切開創周囲の知覚を支配する第4・第5腰髄後根神経節(DRG)を採取し組織切片を作成し、in situ ハイブリダイゼーション法(RNA scope法)によりExchange protein directly activated by cAMP(EPAC)2陽性ニューロンを可視化した。また、ウエスタンブロッティングによりEPAC2の発現量を定量した。その結果、ウエスタンブロッティングでEPAC2の発現の増加を認めた。
本研究の成果をもとに、引き続きEPAC2を介した術後慢性痛の発症機序の全容を解明し、その標的薬が術後慢性痛の新たな治療薬となる可能性について提案する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

モルヒネ誘発性痛覚プライミングモデルラットを作成し、切開創周囲の知覚を支配する第4・第5DRGを採取した。組織切片を作成し、免疫組織化学法により EPAC1/EPAC2陽性ニューロンの可視化を行なったが困難であったため時間がかかった。代替手法として、in situ ハイブリダイゼーション法(RNA scope法)の確立に時間がかかった。また、ウエスタンブロッティングによりEPAC1の発現量の定量も困難であったため、予想していたより時間がかかった。

今後の研究の推進方策

モルヒネ誘発性痛覚プライミングモデルラットにおいて、EPAC1の発現量の定量を、real-time PCR法を用いて行う予定である。
また、EPAC1/EPAC2阻害剤をモルヒネ誘発性痛覚プライミングモデルラットに投与し、モルヒネ誘発性痛覚プライミング発症の有無を行動解析、in situ ハイブリダイゼーション法(RNA scope法)にてそれぞれ検証する。

次年度使用額が生じた理由

モルヒネ誘発性痛覚プライミングモデルラットのDRGにおいて、免疫組織化学法によるEPAC1/EPAC2陽性ニューロンの可視化を行なったが困難であったため、当初、想定していたより実験が進行しなかったため、実験備品の購入にかかる金額が少なかった。 次年度は、EPAC1の発現量の定量はreal-time PCR法を用いて行う予定である。 また、EPAC1/EPAC2阻害剤をモルヒネ誘発性痛覚プライミングモデルラットに投与し、モルヒネ誘発性痛覚プライミング発症の有無を行動解析にて検証する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 術前のモルヒネはEPAC2を増加させ痛覚プライミングを引き起こして術後慢性痛を発症させる2023

    • 著者名/発表者名
      串本光輔 堀井靖彦 松田愛 天谷文昌
    • 学会等名
      日本麻酔科学会第70回学術集会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi