研究課題
若手研究
腸管虚血状態では小腸絨毛上皮が障害の首座であることに対して、再灌流障害ではそれに加えて腸陰窩部分の細胞の障害が強いことが観察された。また、水素ガス吸入によって、小腸の組織障害の程度が軽減される部位が腸陰窩部分であることが観察された。この位置には腸幹細胞が位置しており、腸幹細胞に特異的はLGR5にたいする免疫染色の結果、再灌流で障害される細胞が腸幹細胞であることが示唆された。また、水素ガス吸入モデルでは、同部位の細胞障害は軽減され、水素ガス吸入による腸幹細胞の虚血再灌流障害の軽減が示唆された。
腸管虚血
本研究によって、水素ガスは腸管の虚血再灌流障害においても保護作用があることが示唆された。また、その作用は腸幹細胞である可能性が高いことを示唆する所見も得られた。腸管虚血再灌流障害は特異的な薬剤治療は存在しないため、水素ガスが新規治療としての可能性を持つことが示された。研究計画当初予定していた臨床研究に関しては、基礎的研究の時間を要したことから、取り組むことができなかったが、臨床研究へ移行し、新規治療薬の開発に進めることができる結果を得られた。