心停止蘇生後患者は、全身性の虚血再灌流傷害に起因した多臓器障害が起こるが、特異的治療法がなく、生命予後が極めて不良である。体温管理療法は大掛かりな装置や高度な医療技術が必要であるため、限られた施設でのみ実施が可能である。また効果を発する目標体温に到達するまでに時間を要するため、有効な治療時間枠を逃している可能性がある。一方、自然免疫の賦活は蘇生後集中治療に干渉することなく速やかに実施できるという点で、蘇生後脳障害の予防および治療法として適している。従って心停止蘇生後の自然免疫を特異的に制御することができれば、心停止蘇生後の多臓器障害に対する新規治療クラスとなり広く普及する可能性がある。
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