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2023 年度 実施状況報告書

骨格筋由来エクソソームによるサルコペニア合併敗血症増悪機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K16644
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

榎木 裕紀  慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 講師 (50813854)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード骨格筋萎縮 / 敗血症 / 坐骨神経切断 / エクソソーム / 抑制性免疫 / サルコペニア
研究実績の概要

本年は、骨格筋萎縮下における敗血症病態の悪化に対するエクソソームの関連について検討した。また敗血症と免疫細胞との関連を明らかにするために、腹腔内マクロファージ細胞および脾臓細胞の解析も同様に行った。まず、エクソソームの関与を確認するためにshamまたは坐骨神経切断(DN)マウスに対してエクソソーム分泌阻害剤であるGW4869を投与し、敗血症を誘導した。その結果、DNマウスにおける敗血症での死亡率がGW4869投与によって低下する傾向が見られた。そこでDNマウスの敗血症後の血清中のエクソソームが病態増悪と関連すると考え、shamまたはDNマウスの敗血症後の血清からエクソソームを超遠心法により回収し、これらを健常マウスへ投与後に敗血症を誘導し、生存率を評価した。その結果、DNマウス血清の投与は予後を増悪させる傾向が見られた。しかしこれら結果を検証するためには多群間での比較が必要であるため、統計学的な有意差を得るためには多くの検体が必要である可能性が考えられた。次に免疫細胞の解析を行った。その結果、腹腔内のマクロファージ細胞には顕著な変化は見られなかったが、脾臓組織におけるT細胞免疫の変化が認められた。特に抑制性免疫と関連する制御性T細胞および免疫チェックポイント分子のCTLA4 (cytotoxic T-lymphocyte associated antigen 4) を発現するT細胞が増加しており、これらが廃用性筋萎縮による敗血症病態の増悪と遷延に関連している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

エクソソームの関与について阻害剤またはエクソソーム投与の検討結果は、傾向としては関与が疑われる結果であったが、元来の検討でshamマウスと比較してDNマウスの敗血症後の生存率はSham vs. DN = 63% vs. 35% (P < 0.05)であり、阻害剤やエクソソームの投与による検証では多群検定による統計学的有意差を得ることが難しいと判断された。一方で免疫細胞の解析において、抑制性免疫の亢進が確認されたことから廃用性筋萎縮による敗血症増悪における機序として新規性を見出しており、あらたな方向性が見出された点においておおむね順調と判断した。2023ー2024年度にかけて、エクソソームとマクロファージ細胞の関連性の評価予定であったが、今回の結果を受けて、抑制性T細胞に対する影響について詳細を解析する予定である。

今後の研究の推進方策

今後は、脾臓組織における抑制性免疫に関連する細胞集団をさらに詳細に解析する。またこれら抑制性免疫を誘導する機序として、エクソソームの関与についてex vivoによる解析を実施する。つまり、脾臓より回収した細胞に対して、モデルマウス由来の血清から超遠心法により回収したエクソソームの投与を行い、細胞集団をフローサイトメトリーを用いて評価する。また近年、骨格筋と脾臓組織が遠隔臓器間でクロストークを行っていることが報告されていることから、その過去の報告で用いられていた手法を模倣して、同様にDNによる敗血症増悪における骨格筋とのクロストーク方法について評価する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Betulinic acid ameliorates cast-immobilized skeletal muscle atrophy but not denervation-induced skeletal muscle atrophy2024

    • 著者名/発表者名
      Enoki Yuki、Kanezaki Yuki、Takahata Isamu、Taguchi Kazuaki、Matsumoto Kazuaki
    • 雑誌名

      JCSM Communications

      巻: 7 ページ: N/A

    • DOI

      10.1002/rco2.89

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A combination of 5/6‐nephrectomy and unilateral ureteral obstruction model accelerates progression of remote organ fibrosis in chronic kidney disease2023

    • 著者名/発表者名
      Homma Kyoka、Enoki Yuki、Uchida Sato、Taguchi Kazuaki、Matsumoto Kazuaki
    • 雑誌名

      FASEB BioAdvances

      巻: 5 ページ: 377~394

    • DOI

      10.1096/fba.2023-00045

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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