研究課題
本研究は複数のトレーサーを用いたPET(陽電子放出断層撮影)により、脳のネットワーク障害を解明し、新たな診断法や治療薬の開発へ繋げることを目標とする。2022年度は18F-FDG PET、11C-FMZ PET、11C-MPDX PET、15O-gas PETのデータ整理、解析を行い学会発表の準備と論文作成を開始した。2023年度は18F-FDG PET、11C-FMZ PETに画像の統計学的手法(SPM解析)を加え側頭葉てんかんの焦点側診断の有用性や注意点を検討し、てんかん外科学会(札幌)、神経放射線学会(東京)で成果を発表した。現在論文を執筆し投稿準備中である。18F-FDG PETでは定位的頭蓋内脳波(SEEG)でのてんかん焦点と、18F-FDG PETでの糖代謝低下部位の関係を検討することも試みた。2022度はデータを収集、整理し2023年度は18F-FDG PETとSEEG留置時のCTを重ね合わせて電極留置部にROIを設けることで、糖代謝低下と電気生理学的な焦点との関係を評価するために画像処理を開始した。11C-MPDX PETは、てんかんの焦点外でアデノシンA1受容体結合能が上昇する傾向を示す症例の臨床像を調べ、11C-MPDX PETが示す異常の意義を検証した。抗てんかん薬の多剤内服例に結合能が上昇する傾向があり、2023年度はデータを整理した。15O-gas PETでは、2022年度に続きもやもや病の貧困還流を評価し、脳卒中発症率との関係を検討した。2023年度は原らによる「 Decreased diffusivity along the perivascular space and cerebral hemodynamic disturbance in adult moyamoya disease」の共著者として 成果を論文発表した。
3: やや遅れている
2022年度に準備したデータを用いて、2023年度はFDG PETとFMZ PETにおいて画像の統計学的手法をを用いた側頭葉てんかんの焦点側診断の有効性と注意点について学会発表をすることができた。またこれについて論文を執筆し、投稿前のチェック中である。2023年度は論文投稿予定であったが、投稿前の状態であり、やや遅れている。
焦点診断の精度向上に関するFDG PET, FMZ PETについては、学会で成果を発表することができたが、論文は投稿前の段階であり、今後は早期の投稿と2024年度中のacceptを目標とする。てんかんのネットワーク障害解明に関与すると考えられるMPDX PETのデータについては収集・整理が終了したため、2024年度に執筆に取り掛かることを目標とする。FDG PETとSEEGとの関係については、2023年度にデータを整理できたため、2024年度は解析を進めて、結果を出すことを目標とする。
2023年度は、学会発表と論文執筆を主に施行したが、論文の校正、投稿の前段階までしか到達できなかった。次年度には、論文投稿や引き続き学会発表が可能となることが見込まれ、学会参加・旅費や論文校正・投稿のための費用として使用を計画している。
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Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism
巻: online ahead of print ページ: ahead of print
10.1177/0271678X241245492
Japanese Journal of Magnetic Resonance in Medicine
巻: 43 ページ: 56~59
10.2463/jjmrm.2022-1774