研究課題/領域番号 |
22K16655
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山口 純矢 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (70936591)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 中枢神経系原発悪性リンパ腫 / MYD88 L265P / CD79B Y196 |
研究実績の概要 |
中枢神経系原発悪性リンパ腫におけるCD79B Y196変異により、標準治療であるR-MPV療法の感受性の違いが生まれるメカニズムを探索するため、まずCD79B Y196変異による腫瘍の表現型の変化を解析するため、NCBIのデータベースより中枢神経系原発悪性リンパ腫のRNA-seq、Whole exsome sequenceデータを入手した。CD79B Y196変異の有無により遺伝子発現度の変化の解析を行なった。GSEA解析、Metascape解析を行い、CD79BY196変異によりenrichしてくるgenesetの中から、治療反応性と関連しうるgenesetを抽出した。 現在入手可能な中枢神経系原発悪性リンパ腫の細胞株は、MYD88 L265P変異とCD79BY196変異を保有しておらず、中枢神経系原発悪性リンパ腫のbiologyを反映できていない問題点があった。腫瘍のbiologyをより反映していることで注目されているPDXモデルは、中枢神経系原発悪性リンパ腫においても樹立可能であることが報告されている。手術で採取した腫瘍検体を処理し、免疫不全マウスの脳内に接種し一定期間飼育した後に、MRIで腫瘍が脳内に増大していること、その後の脳組織のHE染色で腫瘍細胞が生着していることを確認した。本PDXモデルは、今後のin vivoの検証で活用する、
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍による影響もあり、研究開始年度に遅れが生じたが、それ以降は概ね予定通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのRNA-seqデータの解析から、CD79B Y196変異による中枢神経系原発悪性リンパ腫の腫瘍微小環境内に浸潤する免疫細胞のランドスケープの変化に着目している。そこで、今後はbulk RNA-seqのデータから、デコンボリューションにより構成される免疫細胞のポピュレーションを推定する。さらに臨床検体のFFPEを用いて免疫組織染色を行い、バリデーションを行う予定である。可能であれば、新規の症例を生検検体に対して免疫細胞系マーカーの多重染色を行いFlow cytometryで、腫瘍微小環境に浸潤する免疫細胞のプロファイリングを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による影響で本年度は実質的な2年目の研究活動期間にあたる。前年度の研究活動は、主に公開データを用いたドライ解析活動であり、解析費用や試薬などの研究に関わる消耗品による消費が少なかった。今年度は遺伝子解析、免疫染色などの研究の割合が増えると見込んでおり、また研究成果の発表のための出張費に使用予定である。
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