研究実績の概要 |
Siglecはシアル酸と結合する細胞表面タンパク質であり、Siglec-15はPD-L1と類似した免疫調整機構を持つ。Siglec-15は、腫瘍細胞や腫瘍関連マクロファージに発現する新たな免疫チェックポイント分子であり、また、Siglec-15とPD-L1は相互排他的な発現傾向を示す。 本年度は髄膜腫の50切除検体のSiglec-15発現を免疫組織化学染色で検証した。悪性髄膜腫7検体のうち6例でPD-L1発現の発現がない一方、Siglec-15は強発現していた。また、髄膜腫細胞株に関して、Western blottingでSiglec-15、PD-L1発現を検証した。生存曲線を評価したが、現在のサンプル数では有意な結果は得られなかった。 また、ヒト由来の悪性髄膜腫細胞株2種(HKBMM,IOMM-Lee)とマウス由来の悪性髄膜腫細胞株(MGS2)を検証したところ、IOMM-Leeにおいて、PD-L1に加え、Siglec-15の発現も確認された。PD-1/PD-L1経路阻害と抗Siglec-15療法を併用することにより、強い抗腫瘍効果が得られる可能性が示唆された。一方、MGS2では、Siglec-15はわずかに発現がある一方、PD-L1のタンパク発現はみられなかった。動物モデルにおける評価は、次年度に向けた課題である。
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