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2022 年度 実施状況報告書

iPS細胞による造腫瘍性を回避したパーキンソン病に対する遺伝子幹細胞療法

研究課題

研究課題/領域番号 22K16669
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

藏成 勇紀  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (90815309)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードiPS細胞 / ゲノム編集 / 自殺遺伝子 / パーキンソン病 / 再生医療
研究実績の概要

我々は、これまでiPS細胞において導入遺伝子を恒常的に安定発現することが可能な遺伝子座の同定を、ゲノム編集技術(CRISPR/Cas9等)を駆使して行ってきた。その結果、恒常的に自殺遺伝子を発現する治療用iPS細胞を樹立することに成功し、遊走能を持つ治療用iPS細胞由来神経幹細胞をCellular delivery vehicleとして用いる遺伝子幹細胞療法に発展させてきた。一般的に、細胞移植療法は、移植細胞自身の造腫瘍性が問題視されるが、我々の樹立した治療用iPS細胞より誘導する細胞は自殺遺伝子導入により造腫瘍性の問題を解決する安全装置を備えているため、様々な「安全な」細胞移植療法への応用が可能となる。本研究で標的とするパーキンソン病は中脳黒質から線条体に投射するドパミン産生神経細胞が脱落し生じる難病であり、近年微小環境における神経炎症の関与を認めている。そこで、本研究計画で、自殺遺伝子導入iPS細胞よりドパミン神経前駆細胞を誘導し、その病変部位への遊走能を利用し、効率的かつ安全な細胞移植療法の実現を検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度の計画は、「パーキンソン病モデルマウスの作製および機能評価」と「自殺遺伝子導入iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞(DPC)及びドパミン神経細胞(iPS-DC)の作製 及び可視化」である。
成体雌性マウス (BALB/C nude, 12W) に対して右内側前脳束に神経毒である6-ヒドロキシドパミンを投与する定位脳手術を実施し、片側パーキンソン病モデルを作製した。術後にメタンフェタミン回転誘発試験を行い、平均6回転/分以上の右回転が得られたマウスをパーキンソン病モデルとして評価し、術後マウスの7割程度がモデルとして成立した。また、術前後にopen-field test, beam test, rotarod test, cylinder testといった神経学的・行動学的評価を行い、術後には明らかな活動の自発性の低下、平衡感覚の低下、左上下肢の運動機能障害が出現することを確認した。
また、自殺遺伝子(yCD-UPRT)+Venus蛍光タンパク質とLuc(ルシフェラーゼ)の融合タンパク質遺伝子(ffLuc)をゲノム編集技術CRISPR/Cas9で、恒常的安定発現を実現する遺伝子座に導入したヒトiPS細胞を利用して、2種類の分化誘導方法でiPS-DPC及びiPS-DCを作成した。各細胞の分化能やドパミンマーカーの発現を評価し、効率よくiPS-DPC及びiPS-DCを誘導・樹立した。プロドラッグ 5-FCを投与して誘導される細胞死を定量的に評価し、5-FCへの感受性は良好であった。

今後の研究の推進方策

パーキンソン病モデルに対するiPS-DPC及びiPS-DCの移植および生着・機能評価
パーキンソン病モデルマウス脳の線条体に移植した上記iPS-DPC及びiPS-DCは、ドパミン細胞としての性質を維持しながら十分に生着することをすでに確認している。今後は、機能評価後のパーキンソン病モデルマウスにiPS-DPC及びiPS-DCを移植し、経時的・長期的(最長6か月)に神経学的・行動学的評価を行い、機能改善の程度を評価する。また同様に移植細胞はルシフェラーゼ活性を指標としたBio-luminescence imaging study (IVIS system)により経時的・定量的にモニターし、生着率も比較検討する。また、余裕があれば、透明化手技を用いて、移植iPS-DPC及びiPS-DCの線条体-中脳における空間的な挙動を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

(理由)効果的に物品調達を行った結果であり、次年度の研究費と合わせて試薬・消耗品などの購入に充てる予定である。

(使用計画) 次年度も、細胞培養、及び動物実験を行っていく、その上でまず動物購入・飼育費に費用がかかる。本治療計画はヒト細胞を用い、BALB/C由来のNude mouseで実験を行う必要がある。以上含め、その他、培養関連試薬、組織解析の関連試薬を中心に購入予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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