研究課題/領域番号 |
22K16676
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
神徳 亮介 群馬大学, 大学院医学系研究科脳神経外科学分野, 助教 (30784516)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | フェロトーシス / 脳虚血再灌流障害 / 活性酸素種(ROS) / TEMPO / 早期脳虚血性変化 / 平均ADC値 / 経皮的脳血栓回収療法 |
研究実績の概要 |
急性期虚血性脳卒中では、再灌流後の活性酸素種(ROS)の過剰産生と蓄積が神経障害につながるため、これを防ぐことが重要である。脳虚血再灌流障害においては細胞内の遊離鉄に依存し、ROSの蓄積を伴う新型のネクローシス様細胞死「フェロトーシス」が大きく関与していると推定される。そこで「脳虚血再灌流障害におけるフェロトーシスの関わりや機序を解明し、フェロトーシスの抑制による新たな治療法を確立すること」を目的として本研究を計画した。前年にラジカル捕捉剤の2,2,6,6-Tetramethylpiperidine-1-oxyl(通称TEMPO)に着目し、in vitro実験を進め、安定なラジカル化合物として知られるTEMPOが容易に揮発することを見出し、TEMPOは気化することによって離れた場所にある細胞に作用し、フェロトーシスおよび酸化ストレス性神経細胞死を止めることを示した。続いてマウス虚血モデルでも気化したTEMPOを自然吸入したマウスは、脳の虚血で誘導される神経細胞死が顕著に抑制されることを示した。本年は臨床面での研究を進めた。広範囲初期脳虚血変化を有する症例における機械的血栓回収療法後の虚血体積の減少を予測する因子を解析し、治療前DWI高信号領域の平均ADC値が術後虚血体積減少に関わる独立した因子であり、体積減少を予測する平均ADC値のカットオフ値は649であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TEMPOの化学的・物理的特性の解明で、in vitro実験において揮発性の一端を明らかにでき、臨床面においても広範囲初期脳虚血変化を有する症例における機械的血栓回収療法後の虚血体積の減少を予測する因子を解析し、治療前DWI高信号領域の平均ADC値が術後虚血体積減少に関わる独立した因子であり、体積減少を予測する平均ADC値のカットオフ値は649であることを示せたため。
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今後の研究の推進方策 |
マウス実験において(吸入)投与法確立に向けたTEMPOの化学的・物理的特性の解明、検討を継続している。またTEMPOのマウス内での経路および吸入量を明らかにするため、TEMPOを自然吸入したマウスの体内でのTEMPOの動態解析を繰り返し行っている。今後も臨床応用を見据えた研究展開、そして実用化へのステップアップを図っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
in vitorの研究と臨床研究を進めたため、費用が低額となった。
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