研究課題/領域番号 |
22K16678
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
嶋田 勢二郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30803639)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | てんかん / 電気刺激装置 / ニューロモジュレーション / 診断技術 |
研究実績の概要 |
迷走神経刺激療法(VNS: vagus nerve stimulation)は難治性てんかんに対する確立された治療法である。しかしながら、VNSのメカニズムが未解明な部分も多く、最適な刺激設定や治療効果を術前に予測することが困難であるという課題がある。 我々は先行研究において、植込型VNSと言語課題を組み合わせた際の脳血流変化量を測定することで、VNS有効例と非有効例で脳血流変化に差異があることを報告した。本研究ではそれをさらに推し進め、①VNS治療中の患者においては植込型VNSの刺激設定毎の言語課題時脳血流変化を測定し、②VNS治療予定の患者においては経皮的迷走神経刺激を用いた言語課題時脳血流変化を測定して、得られた脳血流変化量についてVNS有効群と非有効群で比較し関連性を記述することを目指している。 2022年度はまず、研究体制の確立と症例のリクルートを目指した。①植込型VNS及び検査としてのNIRSについては既に先行研究ならびに臨床でも十分な実績と経験があるため、早期に体制の確立が可能であった。一方で、②経皮的迷走神経刺激(装置)については日本では未承認であり、研究として経皮的迷走神経刺激装置を使用することに関しての倫理的配慮を十分に行うため、学内の専門機関と綿密なミーティングを行う必要があった。ミーティング結果を元に、年度内に本学の倫理委員会に申請し、現在、審査を行っている段階となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述の通り、経皮的迷走神経刺激(装置)については日本では未承認であり、研究として経皮的迷走神経刺激装置を使用することに関しての倫理的配慮を十分に行う必要があると考えられる。そのため、学内の専門機関と綿密なミーティングを行い、研究の枠組みや方法など倫理面の配慮が十分可能なように検討を重ねた。よって、本学の倫理委員会への申請に時間がかかり、症例のリクルートが依然できていない状況である。 一方で、植込型VNSや検査のNIRSについては既に十分な体制を確立できており、2023年度早期から十分な研究体制でスタートすることができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
学内の倫理申請承認後に早急に症例のリクルートを開始する。経皮的迷走神経刺激については、倫理申請承認後の購入の予定であったので、早期に購入を行う。半導体不足などから購入(輸入)まで時間がかかるという情報もあるが、植込型VNSを用いた研究については、早期に検査を実施できると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は倫理申請が年度末になってしまったため、年度内に経皮的迷走神経刺激装置の購入ができなかった。よって、物品費の予定額をほとんど使用していない。そのため、次年度の使用額が生じた。 次年度は装置の購入を行うため、物品費として使用する予定である。
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