研究実績の概要 |
本研究は外傷性脳損傷の中でも神経細胞アポトーシスにおけるオステオポンチンの役割を解明し、治療に応用するための可能性につき探求する。頭部外傷急性期マウスモデルを作成し、各治療群はランダムにグループ分けし、神経学的所見、蛋白の発現変化及び免疫組織学的所見などの評価を全て盲検的に行った。本研究は4年計画で、1年目の本年は頭部外傷後の脳における神経細胞アポトーシスと内因性オステオポンチンの発現との関係を検討した。外傷性脳損傷モデルは、確立されたマウスfluid percussion modelを作成した。神経所見はモデル作成後24時間及び48時間後に6項目(活動性、四肢の自発運動、上肢の進展反射、登坂能力、体幹部の感覚、ひげの刺激への反応)を評価し、総合点で比較した(Sugawara, et al. J Neurosci Methods. 2008;167:327-334)。またモデル作成後24時間及び48時間後にマウスを安楽死させ、速やかに脳を取り出しwet weightを測定、その後108度のオーブンで48時間乾燥させdry weightを測定し、脳水分含有量([wet weight - dry weight]/wet weight)×100 (%)を計算し脳浮腫の程度を評価し、脳損傷の重症度の指標とした。さらにモデル作成後24時間及び48時間後に取り出した大脳にホルマリン固定を行い、パラフィン包埋切片を作成した後、神経細胞に特異的なマーカーとTUNEL (terminal deoxynucleotidyl transferase-mediated uridine 5-triphosphate-biotin nick end-labeling)染色またはオステオポンチンの2重染色を行い、神経細胞アポトーシスとオステオポンチンの発現に関連があることを証明した。
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