研究課題/領域番号 |
22K16685
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
馬塲 庸平 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (20577465)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | iPS細胞 / 虚血耐性 / 脳梗塞 / 大脳オルガノイド |
研究実績の概要 |
初年度は大脳オルガノイド及び内側神経節隆起オルガノイドの誘導を行い、誘導方法としては安定して作出できるようになった。両者の分化については、定量的RT-PCRでのマーカー遺伝子の発現で確認されている。現在、iPS細胞標準株3ラインでの誘導の大脳オルガノイドの検討をおこない、分化指向性もしくは継代状態による影響で効率的な分化は2ラインにとどまっている。このため今後のRNAseqでの検討に際して、検討に必要なライン数を確保できていないため、大脳オルガノイドに効率よく分化しうる他のiPS細胞標準株もしくは、維持状態の良好なiPS細胞標準株の確保が必須であると考えられた。 並行して低酸素培養キットを用いた試験管内虚血負荷モデルの検討を進めている。同キットを使用した場合に、培養条件下の大脳オルガノイドに対して虚血負荷に類似した細胞毒性の出現を確認できるかをまずに確認予定であるが、すでにキットの導入を終え、実際に培養に用いるiPS細胞の拡大培養及び大脳オルガノイドの調整準備を進めている。準備出来次第、まずは1-6時間の負荷で細胞毒性が確認しうるかを免疫染色法で評価し、虚血負荷の条件の設定を考えている。実験系を確立するにあたり、低酸素培養に用いる培地の扱いや調製についてのプロトコルの作成を具体的に進めている。特に、調製の際に培地内に酸素が多く持ち込まれると、溶存酸素(DO)が数時間の低酸素培養の間に想定される平衡状態に達しない可能性が考えられ、その影響を十分に考慮する必要性が判明し、この点に関しての手技上の工夫や評価系の追加を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
解析に用いるiPS細胞の準備に遅れている。iPS細胞には分化指向性があり細胞株間での分化効率に差が生じる。想定していた3ラインのうち、1ラインで分化効率が低いことが判明している。維持培養の過程で細胞の未分化性が低下している可能性もあるため、同ラインの状態を改善するか、新規ラインを導入するかどうかの検討が追加で必要となっているためである。また、大脳オルガノイドについては培養は安定し、低酸素酸素培養キットについては導入しているが、他の研究とのタイミングもあり、iPS細胞および大脳オルガノイドの必要量の確保に若干の遅れが生じたためである。良好な未分化状態のiPS細胞株の準備に1か月、大脳オルガノイドの誘導に2か月程度要するため、3か月程度の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
すでに必要なオルガノイドの培養については習熟し、安定して誘導可能であるため、まずは既存のiPS細胞株から未分化状態の良いサブクローンを作成し、分化効率が改善するかを確認する。分化効率に改善がなければ細胞株による分化指向性によるものと判断し、分化効率の高いiPS細胞標準株を新たに確保する(商業ベースで販売されているものの購入を考えている)。すでに分化誘導が成功しているラインを使用して、iPS細胞および大脳オルガノイドが確保出来次第施行する予定である。現在凍結ストックから再培養したiPS細胞をオルガノイドに分化誘導する準備を進めており、誘導が出来次第、低酸素培養キットによる培養を試み、虚血負荷のin vitro実験系の確立をすすめる。 現段階で当初計画からの遅れが生じているが、大脳オルガノイド誘導に要する時間を考えると、想定された範囲内であり、次年度以降で十分遅れを取り戻すことはできると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究実施計画に遅れが生じたため、想定された培養液・器材の購入予定額が当初予定を下回ったため、次年度使用額が生じました。次年度以降の研究の遂行に追加で使用する計画です。
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