研究課題/領域番号 |
22K16690
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤岡 寛 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (10914252)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | liquid biopsy / glioma / plasma / CSF / cell free DNA / cell free tumor DNA / digital PCR |
研究実績の概要 |
新型digital PCRシステムである、QuantStudio Absolute QデジタルPCRシステムを導入し、glioma患者における血中/髄液中cfDNAの解析を行った。九州大学脳神経外科で保存していたサンプルの検討し、従来型のdigital PCRでは変異を検出できなかった症例において、髄液検体において変異が検出ができるようになるなど感度の改善を認めた。また、WHO grade1であるpilocytic astrocytomaの症例において当施設では初めて頭蓋内由来ではあるが、髄液cfDNAからBRAF V600E変異の検出を行うことができた。2023年に本邦でもBRAF V600E変異を有する脳腫瘍に対しBRAF/MEK阻害剤が保険適用となり、脳腫瘍において腫瘍検体以外からBRAV600E変異が検出できるということは非常に重要な結果である。一方血液からcfDNAを採取しIDH変異などの解析を試みているが、腫瘍と同一の変異の検出には至っていない。
今までのglioma患者に対するCSF中のcell free DNAの解析によるliquid biopsyに関して我々の過去の成果も含めreviewを行った。<Liquid Biopsy for Glioma Using Cell-Free DNA in Cerebrospinal Fluid: Otsuji, et al Cancers 2024, 16(5), 1009; https://doi.org/10.3390/cancers16051009>
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型のdigital PCRを使用し,髄液/血液からのglioma由来cell free DNA検出を目指した。髄液中からの検出は新型dPCRの使用で感度の上昇が見られたが、重要な目的である血液からのglioma由来cell free DNAの検出に成功していない。 また、DNA増幅による感度の上昇を検討したが、目的とする質の高いDNAの精製はできていない。
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今後の研究の推進方策 |
glioma患者より採取した髄液・血液検体からcfDNAを抽出し、新型digital PCRによる解析を行う。まだ少数のサンプルでしか検討できていないため、解析件数を増やす。特に血液に関しては再度使用するサンプル量、保存方法、抽出方法、使用するDNA量などを再検討し、十分な感度を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今回物品購入は採血管、cell free DNAの抽出用、保存digital PCRの消耗品などの消耗品に使用、来年度に新型digital PCR本体の購入費の一部として使用する
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