研究実績の概要 |
本研究の目的は、下肢スポーツ整形外科領域において、従来CTで評価が行われている病態に対して、VIBE MRIによって被曝なく同等の評価が可能かを調査することである。そのために、①膝関節・下腿・足部足関節の至適VIBE MRIの撮影条件、②VIBE MRIを用いた膝前十字靭帯(anterior cruciate ligament, ACL)再建術における骨孔位置評価はCTと比べて同等の結果が得られるか、③疲労骨折患者において、VIBE MRIはCTと同等に骨折線、骨肥厚、骨硬化、仮骨形成を評価できるか、を明らかとすることを目的としている。 初年度は、1.について、Philips社のMRIで至適プロトコルの調整を行い、膝関節、足関節において本シーケンスを使用できるようにした。また、至適ソフトウェアと手法を検討し、mimicsという画像処理ソフトウェアを用い、MRI画像から3D像を作成する手法を確立した。脛骨天蓋面と大腿骨顆間部の骨孔の描出も良好で、研究に必要な画像の作成が可能となった。 今年度は、2.の倫理申請が承認され、前十字靭帯再建術後患者のMRI撮影を開始した。これまで、8名の撮像を行い、画像を取得した。また、得られた画像を用いて画像解析を開始した。3.については、MRI、CTの撮影を行い、症例を集積している。疲労骨折患者については、疲労骨折患者は多くいるものの骨髄浮腫のみの割合も多く、骨折線を伴う割合が少ないため、症例の集積に難渋しているが、これまでに撮影を行った骨折患者においては、骨折線の観察は概ね良好であることが示されている。
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