あ研究協力者である福井大学大学院工学研究科長宗高樹准教授とともに研究をすすめ、膝前十字靱帯損傷における不安定性を評価において、検者が加える力の定量、および脛骨整復時の後方加速度を同時に計測する独自のシステムがより安定して計測を行えるよう改良を進めた。凍結新鮮屍体膝を用いて実験を行った。三次元電磁気センサシステムをGold standardとして用いて、電磁気センサを大腿骨、脛骨に挿入したピンと接続し固定した。また慣性センサを大腿外側と下腿外側にベルクロストラップを改良した治具を用いて装着。圧センサシステムは検者の両手に1つずつ装着した。前十字靱帯および外側半月板を段階的に関節鏡下に切離し、正常膝・前十字靱帯損傷膝・前十字靱帯損傷+外側半月板損傷膝の3つの各ステータスで複数の検者でPivot-shift testを行い、三次元電磁気センサシステムおよび慣性センサ/圧センサシステムで測定を行った。結果として、新システムで計測した膝屈曲角度はEMSでの膝屈曲角度と強い正の相関を示し(r=0.989),平均絶対誤差は8.3±5.3°であった.また,新システムの計測値から脛骨後方加速度が生じる直前に検者が足底部に加えた力が最大となり(51.9±36.5 N),その後力を抜く傾向が認められた.以上より、新システムは膝屈曲角度を計測する上でEMSと同程度の精度を持つことが示唆され,脛骨加速度と膝屈曲角度だけでなく検者の加える力を同時に計測し定量化することでき有用であると考えられた.これらの研究は第50回日本臨床バイオメカニクス学会学術集会で発表し、同学会誌へ投稿し受理されたところである。
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