研究実績の概要 |
本年度はラット腱板修復モデルを用い、N-アセチルシステイン(NAC)やVitamin C(VC)といった抗酸化剤による酸化ストレスの軽減が腱板修復部に与える影響を解析した。12週SDラット48匹を用いて、棘下筋を断裂させ1週後に修復する腱板修復モデルを作製した。ラットを3群に分け断裂の1週前よりNAC(NAC群),VC(VC群),蒸留水(control群)を飲水させた。修復術後3・6・12週後に屠殺しラットの腱板と上腕骨頭を採取し、HE/ toluidine blue染色より組織学的評価を、活性酸素を検出するDihydroethidium(DHE)輝度とカルボニル化蛋白より酸化ストレスの評価を行った。また抗酸化酵素であるSuperoxide Dismutase(SOD)1, SOD2, SOD3,peroxiredoxin(PRDX)5,腱骨癒合に関連する酵素としてCOL1,COL3, MMP1,MMP3,MMP13を対象にreal time PCR法によるmRNA発現とSOD活性を測定した。また引張試験機にて腱骨付着部の引張強度を測定し3群間で比較した。結果は組織学的評価にて、chondrocytesは修復3週後のVC群と6週後のNAC群,VC群で、fibrocartilageは6週後のVC群で、collagen fiberは6週後のNAC,VC群で有意に増加した。DHE輝度は3,6週後のNAC群,VC群で有意に低下しカルボニル化蛋白濃度は6週後のNAC,VC群で有意に減少した。mRNA発現に関しては、3週後のVC群でSOD1が、6週後のNAC群でPRDX5が有意に上昇した。SOD活性は3週後のVC群で有意に増加した。引張強度は3群間に有意差は認めなかった。以上よりNAC,VC共に腱板修復部における腱骨間癒合を促進した事が証明された。
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