研究課題/領域番号 |
22K16720
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
古賀 有希久 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (00912908)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肩 / 酸化ストレス / 腱骨付着部 / 腱板 |
研究実績の概要 |
昨年度はラット腱板修復モデルを用い、N-アセチルシステイン(NAC)やVitamin C(VC)といった抗酸化剤による酸化ストレスの軽減が腱板修復部に与える影響を解析するため12週SDラット48匹を用いて、棘下筋を断裂させ1週後に修復する腱板修復モデルを作製し、3群に分けNAC(NAC群)、VC(VC群)、蒸留水(control群)を飲水させ修復術後3・6・12週後のHE/ toluidine blue染色より組織学的評価を、活性酸素を検出するDihydroethidium(DHE)輝度とカルボニル化蛋白より酸化ストレスの評価を行った。また抗酸化酵素であるSuperoxide Dismutase(SOD)1、SOD2、SOD3、peroxiredoxin(PRDX)5、腱骨癒合に関連する酵素としてCOL1、COL3、MMP1、MMP3、MMP13を対象にPCR法によるmRNA発現とSOD活性を測定した。また引張試験機にて腱骨付着部の引張強度を測定し3群間で比較した。結果は組織学的評価にて、chondrocytesは修復3週後のVC群と6週後のNAC群、VC群で、fibrocartilageは6週後のVC群で、collagen fiberは6週後のNAC、VC群で有意に増加したDHE輝度は3、6週後のNAC群、VC群で有意に低下しカルボニル化蛋白濃度は6週後のNAC、VC群で有意に減少した。mRNA発現に関しては、3週後のVC群でSOD1が、6週後のNAC群でPRDX5が有意に上昇した。SOD活性は3週後のVC群で有意に増加したが、引張強度は3群間に有意差は認めなかった。ここまでの結果を本年度日本整形外科学会、日本整形外科基礎学会のシンポジウムで発表し、日本肩関節学会の高岸直人賞を受賞した。さらに、 Am J Sports Medに投稿しアクセプトされた。 しかし、今回の研究で抗酸化剤を用いて引張強度を強くするまでに至らなかったため、現在臨床でも使用されている上腕二頭筋腱をプレス加工し腱板上に移植する技術と抗酸化剤の内服を併用した実験を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験で得られた結果を本年度ヒトを対象にした実験に移行する予定であったが、動物実験にて抗酸化剤のみでは引張強度の差までは出すことが出来なかったため、さらに動物実験で検討を本年度も行うため。
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今後の研究の推進方策 |
現在臨床でも使用されている上腕二頭筋腱をプレス加工するCuffmendを腱板上に移植する技術が昨年度から国内でも臨床応用されているため、cuffmendとNACやVCの抗酸化剤の内服の併用により腱板修復後の引張強度まで高める事が出来るかの動物実験を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
ヒトを対象とした実験を行う予定であったが、動物実験で引張強度までの有意差がでなかったため、さらに動物実験での新たな研究を追加する事となり、ヒトを対象とした実験を延期したため、使用額が生じた。2024年度追加動物実験とそれの結果からヒトを対象とした実験に移行するため、それにその額は使用する予定である。
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