研究課題/領域番号 |
22K16723
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
吉田 進二 東海大学, 医学部, 講師 (80464882)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 標準化筋肉再神経分布 / 多自由度筋電義手 / 外傷性上肢切断 |
研究実績の概要 |
これまでに当施設では外傷性上肢切断患者に対して標的化筋肉再神経分布(Targeted Muscle Reinnervation:以下TMR)のための手術である神経交差縫合術を5例に施行した.その内の4例を継続的に経過観察中であり,筋電義手を装着した状態での動作評価を定期的に施行している.いずれの症例も針筋電図で肘関節屈伸・手指屈伸・前腕回内外の6動作の筋収縮電位が確認され,表面筋電図で各動作での個別のNeural patternが得られるようになった.またリハビリテーションを続けることでBox and Block TestやPick and Place Testによる物体把持機能評価について徐々にではあるが経時的な改善傾向が認められた.TMRの有用性を評価するためにTMR手術を施行した患側と施行されていない健側の上腕部における表面筋電を計測して比較検討した.肘関節屈伸・手指屈伸・前腕回内外の各動作の間に安静状態を加えた筋電義手操作において,患側では96%以上の動作識別率が得られたが,健側では手指伸展と安静状態での識別率が低下することが判明した.更にNeural patternの解析として回帰分析を用いた手法を利用することで単一運動の複数同時運動の操作能力についての検証を試行している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点より,被験者の通院頻度の制限や工学研究者との連携を伴う検証実験が順調に実施できなかった時期が長期に及んだことによって生じた義手の調整や不具合の修理を繰り返し行う必要が生じたため.
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今後の研究の推進方策 |
新たな症例があればTMR手術の適応を慎重に検討した上で被験者としての協力を募る.TMRの有用性を評価するための筋電の比較検討やNeural patternの個別の解析を進める.Neural patternの解析として回帰分析を用いた手法を利用した単一運動の複数同時運動の操作能力の有効性を検証すると共に各被験者によって有効性に違いがあるかどうかを比較検討する.被験者が将来的に日常生活に役立てることがことが可能な筋電義手の作成に向けて,筋電義手の操作能力やリハビリテーションの取り組みについて工学研究者やリハビリテーション担当者と協議を進めることで方向性を慎重に調整する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点より,被験者の通院頻度の制限や工学研究者との連携を伴う検証実験が順調に実施できなかった時期があり,設備備品や消耗品の使用が想定より少なかったため.使用計画については本研究の実施において必要となる新たな設備備品や消耗品の購入に充てる.その他としては各種学会での報告や会議に使用するための旅費での使用を予定している.
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