研究実績の概要 |
脊髄損傷や頚部脊髄症の患者の治療やリハビリを考える上で、将来の機能回復がどの程度見込めるかを予測することは非常に重要である。本研究では、脊髄損傷と頚部脊髄症の機能予後をradiomicsを用いて予測し、さらに人間にもわかりやすい形で画像の特徴を示すことを目的とした。
これまでにその予備研究として脊椎感染症と脊椎のModic変化の鑑別 (Mukaihata, Maki et al. Spine, 2023)、脊髄損傷患者の神経学的予後の予測 (Shimizu, Maki et al. J Clin Neurosci, 2023)、頚部脊髄症患者の脊髄のMRI画像のセグメンテーション (Nozawa, Maki et al. Int J Comput Assist Radiol Surg, 2023) などに関する研究成果を発表してきた。また、脊髄損傷患者の機能予後予測をWebアプリケーションとして実装し、入院時の神経学的所見や受傷からリハビリ病院入院までの日数が重要な因子であることを明らかにした (Maki et al. J Neurotrauma 2023)。一方で、頚椎後縦靭帯骨化症(OPLL)の手術予後予測においては、画像の特徴量は人間には解釈が難しく、解釈可能性を上げようとすると予測精度が下がるというトレードオフの関係があることがわかった(投稿中データ)。
総じて、脊髄損傷と頚部脊髄症の機能予後を予測する新しい方法を提案し、その有用性を論文発表を通じて示すことができた。しかし、モデルの説明可能性と予測精度のトレードオフや、手元にある症例数の限界など、課題も明らかになった。今後は、これらの課題を解決しつつ、臨床応用に向けた更なる研究が必要である
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