現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
近年、肉腫においても腫瘍細胞のメタボロームに関する研究が増えてきており、特に腫瘍細胞のグルタミン依存性が複数報告され、グルタミントランスポーター阻害薬やグルタミナーゼ阻害薬の有効性が示唆されている(P Lee et al. Nature communications. 2020)。そこで、本研究においても、当初、骨巨細胞腫の腫瘍細胞のグルタミン需要に着目し、細胞株(NCC-GCTB1-C1)を用いて、まずグルコース含有・非含有下にグルタミンを0,1.25,2.5,5,10,20mMと培地に添加し、CCK-8アッセイやMMT アッセイを用いて細胞増殖能を確認したが、グルコース非含有下にはグルタミン濃度の増加とともに細胞増殖能が増加する傾向にあったが、グルコース非含有下には同様の傾向が認めらなかった。また腫瘍細胞のグルタミン代謝が亢進しているかを検証するためグルタミントランスポーター(LAT1、ASCT2)やグルタミナーゼ(GLS1)の遺伝子発現をヒト胚性腎臓細胞、HEK293T細胞を対照として質的RT-PCRで検証したが、いずれも亢進を認めず、グルタミン依存性を確認できなかった。そのため、グルタミン代謝阻害薬投与実験を一時中断し、新たに破骨細胞様の多核巨細胞抑制作用のあるゾレドロン酸の腫瘍細胞抑制作用に着目し、その作用機序として、近年注目されているパイロトーシス作用を検証することとした。 また本研究では骨巨細胞腫の細胞株を使用しているが、実験系のため、通常の細胞培地を使用すると、増殖能が弱く、手術検体から解離・単離した腫瘍細胞の方が増殖能が強いため、手術検体を用いて実験を行うこととしたが、倫理審査の変更や骨巨細胞腫症例が年間5例程度であることから手術検体からの腫瘍細胞の培養に時間を要した。しかしながら既に、手術検体からの腫瘍細胞の解離・単離には成功している。
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