未治療の内側半月板隆起病変(MMRL)が、前十字靭帯(ACL)再建術における腱移植片の術後生体力学的特性に影響を及ぼすかどうかを評価し、ブタモデルを用いて内側半月板(MM)の組織学的所見を明らかにすることを目標として下記実験を行った。 合計18頭のブタを無作為に2群に分けた:(1)MMRL未治療群(UM群、n=9)と(2)対照群(n=9)。そのうち17頭は手術後12週目に安楽死させた。得られた試験片を、ACL 骨癒合部位の方向に繰り返し試験を行い、引張試験機で破断まで負荷(50mm/min)した。その後、繰返し荷重下での並進の左右差と構造特性を分析した。MMの組織学的評価は、Modified Mankinの組織学的グレーディングスコアとModified Copenhaverの分類スコアに基づいて行われた。 結果として上降伏荷重(UM群、476.3±399.9N;対照群、643.2±302.9N)、最大荷重(UM群、539.5±265.8N;対照群、705.8±282.6N)、線形剛性(UM群、539.5±265.8N;対照群、705.8±282.6N)に有意差はなかった。しかし、UM群ではModified Mankinの組織学的悪性度スコア(1.8±0.4[1-2] vs. 0±0[0];P<0.001)およびModified Copenhaverの分類スコア(6.6±2.4[2-9] vs. 0.7±1.1[0-3];P<0.001)が対照群よりも有意に悪かった。以上から未治療のMMRLは、膝前部の弛緩や移植腱の構造的特徴に有意な影響を与えなかった。対照的に、UM群では術後12週目に内側半月板の組織学的劣化が認められた。
上記概要を論文化して整形外科領域の国際誌であるJournal of Experimental Orthopaedics誌に投稿し、修正後アクセプト予定との初回判定を受けている。
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