研究課題/領域番号 |
22K16790
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
坂本 茉莉子 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (80834564)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | がん免疫療法 |
研究実績の概要 |
転移性膀胱がんに対する新たながん免疫療法の確立を目指し、がん微小環境を取り巻く免疫細胞の中でもマクロファージに注目した、新たな免疫チェックポイント阻害剤の有用性を評価すべく、研究を行っている。 まず、in vitroでのマクロファージを用いた膀胱がん細胞の貪食実験を行い、がん細胞の排除能力について評価を行った。マウス膀胱がん由来株化細胞(MB49、MBT-2 細胞)、およびC57BL/6マウスおよびC3H/HeNマウス骨髄由来のマクロファージを用い、各種抗体を加えて共培養を行い、共培養後のマクロファージによるがん細胞の貪食率を評価した。 実験の結果、ラット抗体、抗PD-L1抗体、抗SIRPα抗体単独投与群では、マクロファージによるがん細胞の貪食はほぼ認められなかったのに比して、抗PD-L1+抗SIPRα抗体の2剤を併用した群においては、マクロファージによる貪食活性が有意に上がることを、フローサイトメーターを用いた解析、および免疫染色による解析の双方で確認することが出来た。 この、in vitroの実験結果を持って、次にin vivoでの抗PD-L1+抗SIPRα抗体 2剤併用の抗腫瘍効果を確認すべく、まず、腫瘍モデルマウスの作成に取り掛かったが、マウス(C57BL/6マウスおよびC3H/HeNマウス)膀胱内への膀胱がん細胞(MB49、MBT-2 細胞)の定着が安定せず、現在、モデルマウス作成方法につき、検討を重ねている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍での物流混乱の影響もあり、抗体作成等に必要な試薬・物品等の発注に時間を要する事態となったこと、また、前述の通り、in vivoでの腫瘍モデルマウスの作成につき、同所移植のモデルマウス作成を目指していたが、移植方法の確立に難渋しており、治療効果の検討に移り難い状況である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、同所移植モデルマウスの安定した作成に向けて、検討を重ねて行く。 また、どうしても膀胱への同所移植が困難な場合は、転移性がん状態を模倣するものとして皮下への異所移植を施したモデルマウスを作成し、同モデルでのin vivoの抗体治療の抗腫瘍効果を評価することも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
治療効果を判断するためのモデルマウス作成という、実験前準備段階でのトラブルや、使用する抗体作成の遅延等により、実験計画に遅れが生じている為、次年度使用予定へと繰越を行う。今後、モデルマウス作成の手順を早期に確立(困難な場合は別モデルへの移行を予定)し、予定していた残りのin vivoでの治療薬の有効性評価を進めて行く計画である。
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