研究課題
若手研究
本研究では、転移性膀胱がんに対する新たながん免疫療法の確立を目指し、がん治療薬の有効性評価を行った。膀胱がんに対する抗PD-L1抗体の有用性は既に証明されているが、さらに抗SIRPα抗体を併用することによって、マクロファージの膀胱がん細胞に対する貪食効果を高めることができ、腫瘍モデルマウスにおいても単剤に比して併用群でより強い腫瘍成長抑制効果を認めることができた。さらに、腫瘍内の免疫細胞を解析すると、2剤併用群において腫瘍排除に携わるCD8陽性T細胞の割合が増えていた。
泌尿器悪性腫瘍
抗PD-L1抗体と抗SIRPα抗体を併用することで、膀胱癌に対し単剤に比してより強い抗腫瘍効果を認めることができたが、併用療法による抗腫瘍効果にはマクロファージが大きく寄与しており、マクロファージのがん細胞貪食が起点となって、腫瘍内の環境が癌排除の方向へと変容し、T細胞の呼び込みに繋がっている可能性が示唆された。詳細については更なる解析が必要であるが、抗PD-L1抗体が効きにくいとされるT細胞浸潤が少ない腫瘍に対しても併用療法が有効であり、新たな併用療法の1つとなる可能性が示唆された。