研究課題/領域番号 |
22K16791
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松元 崇 九州大学, 大学病院, 助教 (20876544)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | FBXW7 / 筋層浸潤性膀胱癌 / ctDNA |
研究実績の概要 |
① FBXW7の変異を有する膀胱癌患者の臨床データベースの探索のため、c-bioportal上のデータベースや既報のデータの活用を行った。MSK-IMPACT cohort(n=10336)のデータでは約10%、TCGA2017 cohort(n=405)のデータは約9.6%の筋層浸潤性膀胱癌患者(MIBC)がFBXW7の変異を有していることが分かった。TCGA2017 cohortにおいて、FBXW7の変異を有する膀胱癌患者は予後が悪いことが分かった(p=0.04)。遺伝子発現に注目した場合、FBXW7の低発現は予後が悪いことと相関していた(25.6 vs. 46.8 months, p=0.01)。遺伝子発現サブタイプでは、Basal SubtypeにおいてFBXW7の発現が低いことがわかった。よって、FBXW7の変異を有したり、発現が低い患者が予後が悪いことがわかった。(2022年度) ② 後ろ向きに採取した尿・血液検体からのDNA抽出を随時行った(2022-2023年度) ③ 前向きに採取した組織検体140症例(35例のMIBCを含む)の組織において、FBXW7の変異データを得た。61の変異を同定した。うち40変異はgermline、15変異はsomatic、6変異はLOHだった。16変異はMIBCのみ、14変異は筋層浸潤性膀胱癌(NMIBC)のみ、10変異は上部尿路癌(UTUC)のみ、5変異はMIBCとNIMBCの共通、8変異はMIBCとUTUCの共通、8変異はMIBC、NMIBC、UTUC全ての共通だった。 ④検体採取(組織、血液)を行っており、2026年までフォローアップと検体採取、予後調査を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データベースを用いたFBXW7の変異と予後の調査はおおむね順調に進行し終了した。症例登録は140症例となり、登録は完了した。現在、血液、尿の検体採取を随時行っている。
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今後の研究の推進方策 |
①組織でのFBXW7の変異同定は終了した。当院で蓄積した臨床検体確認を行い、後ろ向きにデータを取得し、と無増悪再発期間との関係を検討する。 ②当院での前向きに回収した臨床検体(ctDNA)を用いた研究を下記a)~d)で行う。 a) 症例登録:2024年まで登録を想定し、2026年までフォローアップと検体採取を行う。b) 組織や血液からDNAを抽出:経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)前に血液を、TURBT時に組織回収を行う。化学療法後、膀胱全摘後、画像上再発し時に血液を回収する。組織は術後すぐに1.5mlチューブに入れ、-80℃で保存する。血液は当日中に遠心分離を行い、ctDNAを抽出し、-80℃で保存する。 c) 抽出したDNAからFBWW7の変異を同定:組織DNAからFBXW7の変異をサンガーシーケンスにより同定する。血中ctDNAから組織で認めたFBXW7の変異を対象として独自でプライマーを設計し、デジタルPCRを用いて好感度に変異を同定する。 d) 腫瘍評価項目は無増悪生存期間:再発を画像でフォローし、FBXW7の変異と予後、無増悪生存期間を調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在前向きに検体の採取を行っている。ある程度まとめてDNA抽出、解析を行う。そのため、次年度使用額が生じた。現在症例の検体の確認が進行中であり、次年度に使用する見込みである。
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