研究課題/領域番号 |
22K16797
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
石原 弘喜 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20910821)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 腎細胞癌 / 透析 / 末期腎不全 / マルチオミックス解析 |
研究実績の概要 |
まず透析腎癌として特異的かつ好発する組織型である後天性嚢胞腎随伴腎細胞癌(acquired cystic disease-associated renal cell carcinoma, ACD-RCC)の網羅的遺伝子解析を開始した。すでに過去の知見により、ACD-RCCのゲノムおよびエピゲノムプロファイルの一部は乳頭状腎細胞癌(papillary renal cell carcinoma, PRCC)に類似することを見出している。従って、ACD-RCCとPRCCの遺伝子異常プロファイルを比較することで、ACD-RCCの発癌機序を解明できると考えた。 ACD-RCC、散発性PRCC、透析PRCCの新鮮凍結検体を用いてRNA-seqおよびInfiniumEPIC Human Methylationによる網羅的遺伝子発現解析およびDNAメチル化解析を行った。クラスタリング解析などにより、ACD-RCCはPRCCと異なるクラスターを有していることが分かった。従って、ACD-RCCはPRCCとは異なる特異的な発現プロファイルおよびDNAメチル化プロファイルを有していることを見出した。さらにパスウェイ解析などから、ACD-RCCの特異的な発現およびDNAメチル化プロファイルは、アミノ酸代謝を含む代謝関連パスウェイの異常低メチル化による発現上昇により特徴づけられていることを見出した。 これらのデータは全てバルク解析によるデータであり、どの細胞の異常なのか判断することが困難である。従って、今後はシングルセル解析やVisiumなどの空間的トランスクリプトーム解析により、細胞および細胞集団ごとの発現プロファイリングを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り網羅的遺伝子発現解析およびDNAメチル化解析が実行でき、一定のデータ取得が完了したため。
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今後の研究の推進方策 |
すでに得たデータを用いてパスウェイ解析およびクラスタリング解析を行い、さらに精密な解析を行うことで、ACD-RCCの発癌・進展機序の解明を目指す。また臨床病理学的データを付加し、診断および予後バイオマーカー等の検索も目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
端数が生じたため発生した。翌年度助成金に合算し使用したいため請求する。
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