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2022 年度 実施状況報告書

腎細胞癌原発巣中心壊死組織に着目した遠隔癌細胞活性化機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K16801
研究機関金沢大学

研究代表者

門本 卓  金沢大学, 附属病院, 特任助教 (30895735)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワード腎細胞癌 / 壊死組織 / 腫瘍免疫 / サイトカイン
研究実績の概要

有転移腎細胞癌の初期治療は、原発巣の摘除=腫瘍減量腎摘除術により生存期間の延長が報告されているため、基本的な治療方針とされてきた。腎摘除術により体内免疫環境の変化がもたらされることにより、転移巣へも抗腫瘍効果を及ぼすと言われているが、これまでそのメカニズムを明確に示した研究はなく、未だ推測の域を出ない。腎細胞癌の原発組織は一定程度に成長すると中心部の構造が破壊され中心壊死に陥ることがしばしばある。原発巣中心壊死組織には多量のサイトカイン・成長因子が存在し腫瘍外へ持続的に漏出している。これにより、原発以外の組織で癌細胞を直接あるいは間接的に活性化することが想定される。間接的、すなわち腫瘍免疫寛容を介する機構として、これらサイトカインに反応する重要な組織と考えられる脾臓での腫瘍免疫学的反応にまず注目した。骨髄由来サプレッサー細胞は腫瘍免疫寛容をもたらす中心的存在である。骨髄由来サプレッサー細胞の発現亢進は骨髄や血液のみならず、脾臓においても顕著に認められると報告されている。腎細胞癌に対する手術と同時に脾臓を摘出した症例を抽出し、骨髄由来サプレッサー細胞の浸潤の有無を調べたところ、非癌患者(主に門脈圧亢進症)の脾臓と比べ、より多くの骨髄由来サプレッサー細胞が存在していた。骨髄由来サプレッサー細胞による制御性T細胞の活性化が癌の増悪に寄与している可能性が考えられた。次年度は壊死より抽出したサイトカイン等の分子が骨髄由来サプレッサー細胞をはじめとした免疫細胞にどのような影響を及ぼすかを明らかにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2年間の予定を100%とした場合、50%程度と考えられる。原発巣の壊死組織の検体収集については予定の半分に満たないものの、腎摘・脾摘同時施行症例の貴重な組織を得た上で、免染を行うなど予備的データは得られつつあり概ね順調と考えられる。

今後の研究の推進方策

今後、原発巣の壊死組織を十分な量収集した上で、蛋白アレイ・ケモカインアレイを用いた網羅的解析と、それらの中から全身へ作用する可能性の高い分子を同定・定量し、免疫細胞への影響について明らかにする実験を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

予定していた抗体を購入していないため残額が生じている。これらをより深いメカニズムの探索のため、サイトカインアレイやELISAを追加して行う費用に充てる予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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