研究実績の概要 |
膀胱癌における腫瘍微小環境は治療介入に伴い変化していることが確認されている。特に腫瘍微小環境における免疫環境が重要となる免疫チェックポイント阻害療法では、導入時ならび治療介入によりダイナミックに変化していく腫瘍微小環境を理解することが必要であると考える。 現在までに、術前化学療法を行った筋層浸潤性膀胱癌51症例における治療前後の腫瘍微小環境を蛍光多重免疫染色により解析しており、2022年度にはその結果を論文報告(Ikarashi D, et al. Br J Ca.2022)している。また、同症例において病理学的完全奏効を達成した症例の腫瘍微小環境を解析した結果を2023年度に論文報告している(Ikarashi D, et al. Sci rep.2024) 現在はBCG療法治療前後症例の腫瘍微小環境の解析に着手しており、現在約15症例の解析を終了した。本検討においては、BCG治療前後の検体を使用しており、治療前後の腫瘍微小環境の変化に着目している。BCG抵抗症例に対する免疫チェックポイント阻害剤の臨床試験を含めた適応拡大が欧米では進んでおり、今後注目すべき分野である。蛍光多重染色解析において、腫瘍微小環境と治療効果などの臨床経過に関連性を認めた場合は、症例を絞ってイメージングマスサイトメトリー法による解析を行うことも検討していくが、費用面で困難な可能性もあり、蛍光多重染色による解析を中心に継続している状態である。
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