研究課題/領域番号 |
22K16809
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
茂田 啓介 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 訪問研究員 (10649875)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 尿路上皮癌分子サブタイプ / FGFR3 / p53 / CK5/6 / CK20 |
研究実績の概要 |
①ヒト腎盂尿管癌手術後臨床検体のマイクロアレイ(Tissue Micro Array)の作成 当教室で2000年から2018 年までに腎盂尿管癌に対して腎尿管全摘除術を受けた214例の上部尿路上皮癌検体(腎盂癌116例、尿管癌98例)を用いた臨床組織から病理学的に腫瘍中心部(Center of tumor: CT)・腫瘍辺縁部(Invasive margin: IM)を抽出し、腫瘍内不均一性を克服する組織マイクロアレイ(Tissue Microarray)を作成した。 また尿路上皮癌分子サブタイプに代表される4種の分子マーカー(CK5/6 CK20 FGFR3 p53)を免疫組織化学染色を行い、解析装置(Histo Quest)で自動化されたシングルセルカウントを実施した。結果、UTUC原発においてはpT stageによって、FGFR3陽性組織からp53陽性組織に移行する現象を確認した。また、術後膀胱内再発検体は主にCK20陽性群に多く、CK5/6陽性群に少ないことを確認した。 ②腎盂尿管癌、再発後膀胱癌、筋層進展後臨床検体の凍結保存とNGS解析用サンプルの作成 当院では倫理承認申請(20180354)後各患者に同意を取ったうえで、腎盂尿管摘出時の癌検体の一部、そして膀胱内再発後のTUR検体一部をDeep Freezerで凍結保存および特殊溶液でのFFPE検体保存を実施し一部DNA解析を開始した。腎盂尿管癌検体の経時的な膀胱内再発/進展メカニズムの解明の一助にしたいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに、ヒト腎盂尿管癌手術後臨床検体のマイクロアレイ(Tissue Micro Array)の作成は完了し、尿路上皮癌分子サブタイプに代表される4種の分子マーカー(CK5/6 CK20 FGFR3 p53)を免疫組織化学染色を行い、シングルセルカウントを実施した。結果、CK5/6陰性、CK20陽性の腎盂尿管癌検体の症例が特に膀胱内再発が多かった。これは、luminal suntypeの癌が続発性に膀胱内再発を来す結果であり、諸家の報告と一致している。 今後は再発後膀胱癌、さらには筋層進展後臨床検体の免疫組織学染色を行い、分子サブタイプ別にどのようなUTUC症例が術後筋層進展するのか、また原発の筋層浸潤性膀胱癌とUTUC筋層進展後膀胱癌の分子サブタイプを比較することで、腎尿管癌検体の経時的な膀胱内再発/進展メカニズムの解明につなげる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、腎盂尿管癌、再発後膀胱癌、筋層進展後臨床検体の凍結保存とNGS解析用サンプルの作成を検討している。 すでに当院では倫理承認申請(20180354)後各患者に同意を取ったうえで、腎盂尿管摘出時の癌検体の一部、そして膀胱内再発後のTUR検体一部をDeep Freezerで凍結保存および特殊溶液でのFFPE検体保存を実施し一部DNA解析を開始しており、腎盂尿管癌検体の経時的な膀胱内再発/進展メカニズムの解明の一助にしたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度分はほぼ予定通りの金額を使用しており、差額は誤差範囲の金額と考える。 2022年度分を2023年度分と合わせて免疫組織染色を行う抗体費用や、染色費用に充てる予定である。
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