研究課題/領域番号 |
22K16812
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
細越 正吾 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (00815798)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | テロメア |
研究実績の概要 |
固形腫瘍に対する癌免疫療法は実臨床でも多くの患者に使用されているが、多くの患者には奏功せず、重篤な免疫関連有害事象も大きな問題である。有効な分子マーカーも発見されておらず、現状では免疫療法の効果を予測することは困難である。そこで我々は免疫細胞のストレス状態が免疫療法の効果に重要な役割を果たしているのではないかと考えた。近年白血球を用いたテロメア長の測定が可能となり、白血球細胞のテロメア長から長期的なストレスが、テロメアGテールから短期的なストレスが推測できるようになった。現在、免疫細胞の疲弊を評価する方法は開発されておらず、これらテロメア長を用いたツールが免疫細胞のストレス負荷を評価し免疫療法の効果を予測できる可能性がある。本研究では免疫細胞のテロメアとテロメアGテールを用いて癌免疫療法の効果を予測するバイオマーカーの開発を目指すと同時に、癌患者における白血球テロメア長の意義も検討する。 本年度は93例の血液サンプルを収拾し、以下の方法でテロメア測定を行った。検体の内訳は健常コントロール11名、前立腺癌2名、腎細胞癌36名、尿路上皮癌44名である。現在、治療効果情報と紐づけしており、結果の取りまとめを行っている。 1)染色体DNAの精製後、100 ng/uL DNA溶液を95℃で10分間熱変性させ、5分間氷中に放置した。その後、200 ng/10uLになるように希釈したDNA溶液にアクリジュームエステルで標識した29-merのテロメアプローブが入ったハイブリダイゼーション溶液10uLを加え、60℃で10分間反応させた。その後、加水分解溶液30uLを加え、60℃で10分間反応させ過剰量のDNAに結合しなかったテロメアプローブを加水分解した。40 uLを96ウエルホワイトプレートに分注し、過酸化水素水溶液20uLと水酸化ナトリウム溶液10 uLを添加し、DNAに結合したテロメアプローブ量を発光量としてEnVision機器にて測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は93例の血液サンプルを収拾しテロメア測定に提出した。内訳は健常コントロール11名、前立腺癌2名、腎細胞癌36名、尿路上皮癌44名である。現在、サンプルの解析結果は得られており、今後臨床的意味について検討を行う。
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今後の研究の推進方策 |
現在、得られた結果を治療効果情報と紐づけしており、結果の取りまとめを行っている。今後は縦断的に採取可能な検体の収集、白血球画分(T細胞、B細胞など)のテロメア測定が可能かを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が5,555円乗じた。物品費の高騰により、一部物品の購入を次年度に持ち越したため。繰り越し金でテロメア測定用の試薬を購入する予定である
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