研究課題/領域番号 |
22K16819
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
山本 新九郎 高知大学, 医学部附属病院, 医員 (00793150)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 膀胱癌 / 光線力学的治療 / 5-アミノレブリン酸 / 免疫チェックポイント阻害薬 / アブスコパル効果 |
研究実績の概要 |
【研究目的】近年、免疫チェックポイント阻害薬は、新たな膀胱癌治療として注目されている。今後の課題は、免疫チェックポイント阻害薬による腫瘍免疫応答の活性化をより高めることであると研究代表者は考えている。そして、免疫チェックポイント阻害薬と免疫賦活効果を有する治療法との併用療法を開発することは、その課題解決の方法の一つと考えられる。研究代表者は、癌特異性が高く低侵襲な治療である5-アミノレブリン酸を用いた光線力学的治療(ALA-PDT)に着目した。本研究は、膀胱癌に対するALA-PDTの免疫賦活効果を解析するとともに、ALA-PDT併用による免疫チェックポイント阻害療法の増強効果を評価し、免疫チェックポイント阻害薬との併用に有用な免疫賦活効果を持つ新たな治療法を確立することを目的としている。
【研究実績】昨年度は、動物実験に適した細胞株を選定するため、複数のマウス膀胱癌細胞株を使用し、各細胞株のALA-PDTに対する治療感受性とPDL-1蛋白質発現量を解析し明らかにした。その結果から選定した細胞株を細胞性免疫保有マウス(C3H/He)の背部2箇所に皮下移植した多発担癌マウスモデルを作成した。免疫チェックポイント阻害薬としてPDL-1阻害薬(抗PDL-1抗体)を選定し、コントロール群、PDL-1阻害薬単独群、ALA-PDT単独群、PDL-1阻害薬+ ALA-PDT併用群の4群に分けた動物実験が進行中である。動物実験により、ALA-PDTによる免疫賦活効果とALA-PDTによる免疫チェックポイント阻害療法増強効果を検証していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、マウス膀胱癌細胞株のALA-PDT治療感受性やPDL-1発現量を解析し、細胞株の特性を明らかにした。その結果から、本研究の動物実験に適した細胞株を選択し、細胞性免疫保有マウスを用いた多発担癌マウスモデルを樹立し、動物実験を開始できている。以上のことから当初の計画に対しておおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
マウス膀胱癌細胞株のALA-PDTとPDL-1に関連する特性を明らかにし、細胞性免疫保有マウスを用いた多発担癌マウスモデルを樹立した。今後は、4群(コントロール群、PDL-1阻害薬単独群、ALA-PDT単独群、PDL-1阻害薬+ ALA-PDT併用群)に分けた動物実験を遂行する。PDL-1阻害薬+ALA-PDT併用群は、PDL-1阻害薬投与下に、背部2箇所の腫瘍の片側にのみALA-PDTを実施する。ALA-PDTを実施した腫瘍を「PDT治療腫瘍」、実施しなかった腫瘍を「非PDT治療腫瘍」とする。非PDT治療腫瘍において、腫瘍組織の免疫学的な因子(CD8陽性T細胞等)と治療効果(経時的腫瘍体積, 腫瘍組織染色による評価)の解析を行い、ALA-PDTによる免疫賦活効果とALA-PDTによる免疫チェックポイント阻害療法増強効果を検証していく。
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