研究課題
腎臓結石症は内分泌代謝疾患の1つで、腎臓結石の大部分をしめるシュウ酸カルシウム(CaOx)結石の溶解薬はなく、根本的な治療薬は存在しない。SGLT2阻害薬は利尿作用や抗炎症作用といった結石形成に抑制的に働く効果を持っているため、SGLT2阻害による腎臓結石症への影響について検討した。1. CaOx腎臓結石モデルラットをエチレングリコールとアルファカルシドールを用いて作成した。フロリジン投与により、腎臓結石形成量が有意に抑制された。SGLT阻害薬投与によるNa利尿により尿量が増加することを想定していたが、飲水量と尿量はEG群とEG+Ph群で有意な差は認めなかった。mRNA発現ならびにタンパク質発現を検討しOpn、Tgfb1、Cd68、Cd206、Kim1、Fn1はEG+Ph群でEG群よりも有意に低下を認めた。2. SGLT2特異的な阻害の効果を検討するため、SGLT2 ノックアウトマウスの実験を施行した。SGLT2ノックアウトマウスでは腎臓結石形成量が少なかった。 Opn、Cd44、Tgfb1、Fn1の発現はSGLT2ノックアウトマウスで野性型マウスと比較して有意に低下していた。3. ヒト近位尿細管細胞HK2を使用しSGLT2阻害による腎臓結石症への影響を評価した。siRNAを用いてSGLT2発現をノックダウンし、CaOx結晶接着量を比較した。高グルコース環境下ではOPN、TGFB1の上昇を認めたが、SGLT2ノックダウンによりCaOx接着量やOPN、TGFB1の発現量が有意に低下した。以上より、SGLT2阻害薬は抗炎症作用により腎臓結石形成を抑制する可能性を示した。
2: おおむね順調に進展している
基礎研究は計画通りに進んでおり、今後は検体解析を進める。
基礎研究は順調に進んでおり、今後は統計解析や英文論文作成を進める。
コロナの影響により、検体解析が遅れているため物品費が当初の予定よりも少なく、学会参加もオンラインなどの影響で旅費も当初の予定よりも少なくなり、次年度持ち越しが多くなった。また英文論文校正費用や投稿費用によりその他の費用が当初の予定よりも多くなった。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件)
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