研究課題/領域番号 |
22K16846
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
脇本 裕 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20771215)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 人工卵巣 / 卵巣移植 / 再生医学 / 脱細胞化 |
研究実績の概要 |
9週齢ICRマウスの卵巣組織を0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS:sodium dodecyl sulfate)を含むPBS内で24時間浸漬し、さらに40 unit/mlで30分間DNase処理(1mg/mL)を加えて24時間PBSで洗浄することで脱細胞化した。次いで、卵巣組織再構築のために7日齢B6D2F1マウスの卵巣組織から顕微鏡鏡下に31Gの針を用いて組織から単離して卵胞を回収し、組織自動細切機で作成した脱細胞化組織を細切して挟んだ後、①20μLのマトリジェルで覆うか、②アルギン酸ナトリウムの水溶液にCaイオンを加えて、イオン架橋によりゲル化させて卵巣組織を再構築した。 ①か②で作成した再構築卵巣組織をSCIDマウスの卵巣を一部切除のうえ同部位に移植した。B6D2F1由来の産仔が誕生するか確認するため、9週齢被移植SCIDマウスは、移植後2日目に排卵誘発を行い、その2日後にICR♂と交配し、腟栓を確認した。交配後、16日目にマウスの子宮と両側付属器を摘出し、産仔を確認した。コントロールのSCIDマウス由来の産仔を獲得できたが、再構築した卵巣由来のマウス(B6D2F1マウス)は得られなかった。 更に我々は同系のマウスを用いて実験を実施した。単離卵胞にGreen mouse C57BL/6 Tg-CAG-EGFP(GFPマウス)を用いて、そして卵巣の再構築に用いる系統は、脱細胞化に[ICR]、被移植マウスをB6D2F1マウスとした。上記と同様の実験を実施し、交配用♂の系統は[ICR]とし、被移植マウスに移植2日後の排卵誘発のうえ交配し、移植16日目に帝王切開を実施したが、産仔が得られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題の達成目標は、単離したマウス卵胞をヒト脱細胞化卵巣組織に導入して人工卵巣を作成し、それをマウスに移植して産仔を得ることである。今年度は、マウス卵巣を脱細胞化して用いた実験で産仔が得られるか確認中である。この1年間の動物実験は、前年に引き続き様々なメソッドで試行錯誤のうえ実験を行ってきたが産仔を得るに至っていない。 単離したドナーマウスの卵胞と脱細胞化した卵巣組織からなる人工卵巣の再構築は、当初の予定よりも実験方法の確立に時間を要し、また、マウスへの再構築人工卵巣の移植手技自体も熟練を要し、今後も改善すべき課題と考える。 被移植マウスへの生着の確認のため、同系のマウスを用いて実験を実施し、単離卵胞にGreen mouse C57BL/6 Tg-CAG-EGFP(GFPマウス)を用いて、被移植マウスをB6D2F1マウスとした。7日齢のGFPマウスの摘出卵巣から原因は明らかではないが、卵胞が存在せず単離できなかった。このため、移植した脱細胞化卵巣組織が生着しているか確認が不十分なままである。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、導入した卵胞が移植後に時間経過と共にアポトーシスしていくことを懸念して、被移植マウスの排卵誘発の時期を早めの移植2日後に実施してきた。しかし、諸家の報告ではマウス卵巣組織の正所性移植において、移植後2-3週間後に排卵誘発を実施している。したがって、残存卵巣組織からのコントロールしか産仔が得られなかったのは、排卵誘発時期が早期で被移植卵巣の生着と機能回復が未だった可能性が考えられる。今後の研究の推進方策として、排卵誘発の適切な時期を決定する予定である。 なお、既報において腎被膜下に行われた卵巣の異所性移植において、移植後2-3週間に回収された組織の卵胞の回復率は26-32.5%とされる。したがって、移植マウスの最適な排卵誘発の時期は移植後約2-4週後と想定される。なお、マウスへの再構築人工卵巣の正所性移植手技自体は熟練を要する技術であるため、比較的実質が容易な腎被膜下への異所性移植を予定する。これにより、正所性移植においては残存卵巣からの排卵の可能性も否定できなかったが、再構築人工卵巣を腎被膜下に異所移植することで、再構築卵巣組織の機能回復の検討が可能と考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
今回、研究助手の協力から実験がすすみ実験回数が増えたこと、近年の円安に伴う国際学会の学会参加費や出張旅費の高騰のため、計画以上の経費が計上され、前倒し支払請求を行い、次年度使用額が生じた。今年度は、ISFP(国際妊孕性温存学会)が東京で開催されるため出張旅費を抑えられると考えている。なお、特に引き続きマウス卵巣組織の用いた実験 を使用計画するためマウスの購入を計上する必要がある。
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