研究課題/領域番号 |
22K16847
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
柴田 磨己 福岡大学, 医学部, 助教 (20816392)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | microRNA / 着床不全 / NGS / モデルマウス / 脂肪幹細胞 |
研究実績の概要 |
本研究は脂肪幹細胞上清に含まれる、子宮内膜着床不全を治癒するmicroRNAを同定することを目的とし、1) Small RNA-Seq解析、mRNA-Seq解析による子宮内膜再生microRNAの同定、2) ヒト子宮内膜間質細胞と子宮内膜菲薄化マウスを用いたmicroRNAの子宮内膜再生能評価、3) ボナック核酸の作製と子宮内膜菲薄化マウスに対する薬効、細胞内動態解析を実施する。
昨年度は、small RNA-Seq解析の結果から同定したmicroRNAを子宮内膜菲薄化マウスへ投与し、子宮内膜組織層の厚さ、および上皮細胞増殖因子の発現を確認した。特定のmicroRNAを投与した結果、有意差は得られなかったものの、Negative control のmicroRNA投与個体と比較し、子宮内膜上皮組織から筋層組織までの組織層の厚さが増加する傾向が確認された。さらに、microRNA投与後の個体から子宮を採取し、FFPEブロックを作成後、細胞増殖能マーカーであるKi67について免疫染色を実施した。その結果、microRNAを投与していない子宮内膜菲薄化マウスと比較し、microRNA投与後の菲薄化マウスの方が、子宮内膜上皮組織におけるKi67の発現が増加していることが確認された。 これらの結果は、上記microRNAの子宮内膜再生能力の可能性を示唆するものであるが、検証個体数が少ないため、より多くのマウス個体で組織層の厚みの増加を確認する必要がある。また、細胞増殖効果を正確に評価するために、複数種の細胞増殖因子の発現を確認する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度はmicroRNA投与個体の評価方法確立に時間を要したため、効果検証は2種類のmicroRNAでしか実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は昨年度に検証したmicroRNAの投与効果を、より多くのマウス個体で検証するとともに、同定した他5種類のmicroRNAの投与効果についても検証する。また、増殖因子の発現については、他の因子(CD45、CD31、LIF、VEGF等)の発現も検証する。また、子宮内膜菲薄化マウスにて効果が認められたmicroRNAについては、ヒト子宮内膜間質細胞へも投与し、細胞の増殖率、および増殖因子の発現を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
脂肪幹細胞の上清に対するSmall RNA-Seq解析のみで、検証可能な数の候補microRNAを選出することに成功したため、子宮組織のbulk RNA-Seq解析を実施する必要性が低くなった。そのため、生じた残額は同定したmicroRNAの効果検証に使用する予定である。
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