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2023 年度 実施状況報告書

腹膜環境誘導性Notchシグナルを基軸とした卵巣癌腫瘍内不均一性の解明と標的化

研究課題

研究課題/領域番号 22K16858
研究機関藤田医科大学

研究代表者

杉山 麻衣  藤田医科大学, その他部局等, 講師 (80936550)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード卵巣癌 / 腹膜播種 / 癌関連腹膜中皮細胞 / Notchシグナル / 腫瘍内不均一性
研究実績の概要

2023年度は、トランスポーターに着目したメカニズムの解明を進めるため、卵巣癌細胞とOCAMsを共培養するin vitro腹膜播種モデルにおいて、阻害剤を用いたトランスポーター機能阻害のアッセイ系を確立した。また、研究代表者らが前年度明らかにした、卵巣癌腹膜播種微小環境、特に腹膜中皮細胞と卵巣癌細胞との相互作用におけるNotchシグナル活性化による腫瘍内不均一性形成と薬剤抵抗性獲得のメカニズムのさらなる解明を行った。具体的には、Notch活性化細胞において発現が亢進するトランスポーターを機能阻害することにより、Notch活性化細胞が獲得するシスプラチン等既存の殺細胞性抗癌剤の薬剤抵抗性が低下し、細胞死を誘導することをin vitroで示した。さらに、卵巣癌腹膜播種マウスモデルにおいて、シスプラチンとトランスポーター阻害剤を同時投与することで、シスプラチン単剤投与群と比べて播種の広がりが抑制されること、播種巣における卵巣癌細胞の増殖が抑制されることを示した。これらの結果より、Notch活性化癌細胞を標的とするトランスポーター阻害剤の効果により、卵巣癌腹膜播種における殺細胞性抗癌剤の効果が高まることが示唆された。本研究成果から、Notch活性化癌細胞を標的とした阻害剤の使用により、癌細胞内不均一性から生じる治療抵抗性を解除し、プラチナ製剤などの既存の殺細胞性抗癌剤の効果を高めることが示唆された。これを発展することで、新規治療戦略となることが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初想定していた内容とは異なる部分もあるが、目標としていたプラチナ製剤などの既存の殺細胞性抗癌剤の効果を高める新規治療戦略の開発へ向けて、基盤となる結果を明らかにできた。

今後の研究の推進方策

引き続き継続し、研究を実施する。大筋の実験データは取得できているが、論文報告までに必要なさらなる検証を進める。最終年度には論文報告を完了することを目標とする。

次年度使用額が生じた理由

2023年度計画では、トランスポーターに着目したメカニズムの解明を進めるため、阻害剤やsiRNAによるトランスポーター機能阻害、動物を用いた効果検証等を行う予定であったが、このうち阻害剤での高い効果を実証できたため、siRNAによる検証は行わなかった。また、研究代表者の異動のため、研究計画に若干の変更が生じたため次年度使用額が生じた。2024年度は、論文報告を目標としているため論文投稿費用として使用する。また、詰めの実験データの取得のためのアッセイキット等の購入、モデル動物購入を検討している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 卵巣癌腹膜播種に対するNotchシグナルを標的とした新規治療戦略の創成2023

    • 著者名/発表者名
      杉山麻衣, 吉原雅人, 小屋美博, 北見和久, 宇野枢, 伊吉祥平, 茂木一将, 藤本裕基, 宮本絵美里, 山下守, 那波明宏, 梶山広明
    • 学会等名
      第75回日本産科婦人科学会学術講演会

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公開日: 2024-12-25  

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