研究課題
婦人科希少がん（子宮・卵巣肉腫、子宮脱分化型類内膜癌、卵巣脱分化癌、子宮頸部最小偏倚型粘液性腺癌など）は症例数が少ないため臨床試験を実施することが困難である。そのため標準治療が確立されておらず、原発巣の上皮性悪性腫瘍に準じて治療が行われるが、ほぼ全てが治療抵抗性であり極めて予後不良である。以上のような背景から婦人科希少がんに対する新たな治療戦略が切望されているが、そのような細胞株は存在せず、罹患数も少ないため発がん進展の分子メカニズム・治療標的の解明は全く進んでいない。そこで本研究では、婦人科希少がんの原組織を用いたオルガノイドライブラリーを構築し、それを基盤とした発生機序解明と薬剤感受性試験を試みるとともに、オルガノイド移植マウスを用いてGenotype-matched therapyを探索し、各種抗癌剤・分子標的治療薬との併用療法により、予後改善に寄与する現実的なPrecision medicineを提案する。令和4年度に当院において婦人科希少がんが疑われた症例は、生検あるいは手術時の腫瘍摘出時に、速やかにオルガノイドを作成した。既に子宮頸癌の小細胞神経内分泌癌や子宮体部高異型度子宮内膜間質肉腫、子宮体部低異型度子宮内膜間質肉腫のオルガノイドライブラリーが構築できている。当科で年間10症例であり、さらに症例を蓄積し様々な希少がんのオルガノイドライブラリーを鋭意作成していく予定である。
3: やや遅れている
婦人科希少がんは症例数が少ないためオルガノイドライブラリー構築の進捗状況はやや遅れています。今後も継続的な症例蓄積・オルガノイドライブラリーを構築していく予定です。
希少がんのオルガノイドライブラリーは継続して構築していく。また当科、当科関連病院より凍結検体が保存されている婦人科希少がん症例にて、全エクソーム解析・エピゲノム解析・マイクロアレイ解析を行い、腫瘍発生に関わる遺伝子異常を追究し、これにより婦人科希少がんの発生・進展について解明する。また、作成したオルガノイドを用いて全エクソーム解析・エピゲノム解析・マイクロアレイ解析にて統合ゲノム解析を行うとともに、婦人科希少がん予後改善に寄与する薬剤感受性試験のプラットフォームを作成する。
コロナ禍により現地学会発表の機会が少なく、旅費分の出費が減少となりました。次年度は学会発表やオルガノイド作成に使用いたします。
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