研究課題
FGRは様々な周産期合併症のリスク因子である。また胎児脂肪量は新たな胎児発育の指標として注目されている。今回、胎児肝血流量と胎児脂肪量、母体血および臍帯血の血清アディポカイン、さらに新生児予後との関連について検討を行なった。単胎妊婦71例を対象として、妊娠30週に胎児肝血流量を計測した。肝血流量は既報に基づき、血管径と血流速度から得られた、臍帯静脈血流量と静脈管血流量の差分として算出した。また既報に基づき、胎児上腕脂肪面積率、大腿脂肪面積率、腹壁前面脂肪厚のz scoreの平均からEstimated Fetal Adiposity(EFA)を算出し、胎児脂肪量の指標とした。交絡因子として、母体年齢、経産数、非妊時BMI、妊娠中の体重増加量、児の性別を考慮し、重回帰分析を用いて胎児肝血流量と胎児脂肪量および血清アディポカイン、さらに新生児予後との関連について検討を行った。その結果、妊娠30週における胎児肝血流量は、妊娠30週におけるEFAとは相関を示さなかったが、妊娠36週におけるEFAと有意に相関した。また、妊娠36週の胎児推定体重とも相関を認めた。出生体重10%tile未満のFGRでは、正常発育児と比較し、有意に胎児肝血流量が少なかった。一方で、胎児肝血流量は妊娠初期および24週における母体血および臍帯血の血清アディポカイン(レプチン、アディポネクチン、IGF-1、IL-6、高感度CRP)や新生児合併症との関連は認めなかった。本研究において、胎児肝血流量はFGR児で有意に低下していることが明らかとなった。一方で、症例数が少なく、胎児肝血流量と母体血および臍帯血の血清アディポカインや新生児予後との関連は認めなかった。今後FGR症例のさらなる集積を行なっていく予定である。
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Early Human Development
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