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2022 年度 実施状況報告書

エクソソーム中の糖蛋白質をターゲットとした初期卵巣癌マーカー診断システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K16865
研究機関東海大学

研究代表者

林 優  東海大学, 医学部, 助教 (80631837)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワード卵巣癌 / 子宮内膜症 / エクソソーム / 糖蛋白 / 糖ペプチド / 深層学習
研究実績の概要

我々の所属する研究室では、個々の患者からのCSGSA*ピークデータを2次元バーコード化し、さらに既存の卵巣癌関連血清糖蛋白データで色付けするカラー2次元バーコードを作成し、非癌例と初期卵巣癌患者群のカラー2次元バーコードを深層学習させることで卵巣癌の罹患の有無を判別する方法を考案した(Cancers (Basel). 2020 Aug 21;12(9):2374. PMID: 32825730. CSGSA(AI)) (特許出願番号2019-108992)。*CSGSAとは、血液より糖蛋白を抽出、糖ペプチドとしてLC/MS(液体クロマトグラフィー/質量分析)に投入し、そこより得た2次元データから再現性のある一人当たり約2000ピークを抽出し、そのすべてを用いて病態の判別を行う診断システムの構築を目指すものである。
本研究では、CSGSA(AI)の特異度・感度を挙げるために、エクソソーム中の糖蛋白を用いて測定可能な量の糖ペプチドを得ることが出来るかどうかを確認した上で、エクソソーム中の糖蛋白を分解して得られた糖ペプチドを用いてより優れた診断システムを開発することが目的である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

卵巣癌患者血清から、以下の手順でエクソソームを精製し、糖蛋白を抽出し、糖ペプチドに分解、エンリッチして質量分析器で糖ペプチドの測定を行った。
(方法)・エクソソーム精製:マグネットビーズに抗エクソソーム表面抗体添付、抗体添付マグネットビーズを患者血清に投入(エクソソームの吸着)、非吸着物の洗浄、エクソソームのビーズからの分離、エクソソーム単離精製。・糖ペプチド単離:エクソソームからタンパク抽出、糖ペプチドへ分解、糖ペプチドエンリッチ精製。・質量分析:精製糖ペプチドを用いて測定。
(結果)質量分析の結果、エクソソームから得られた糖蛋白から糖ペプチドピークデータを得ることは困難であった。血清20μLから得られる推定糖蛋白質量は約1000μgであることから、エクソソーム中の糖蛋白質量は血清に対し、仮に100%回収されたとしても0.34%程度であることがわかった。よって、血清1000μLからの精製では検出が困難であることがわかった。
(結論)血清1000μLから精製したエクソソーム中の糖蛋白からの糖ペプチドは質量分析器では解析が困難であることが判明した。血清量を増やすことは現実的でないことから、糖ペプチドでなくエクソソームに含まれる糖蛋白自身の検討を行うべきであると結論された。

今後の研究の推進方策

エクソソーム中の糖蛋白から得られた糖ペプチドの解析は量的な問題から困難であることから、糖ペプチドでなくエクソソーム中の糖蛋白自体をターゲットとすることにして測定・解析を行う。エクソソーム含有糖蛋白に対してプロテオミクス解析を行い、解析データからカラー2次元バーコードを作成し、癌例と非癌例からのカラー2次元バーコードを深層学習されることで卵巣癌検知AIの作成を目指す。既存報告(Extracellular Vesicle and Particle Biomarkers Define Multiple Human Cancers PMID: 32795414)もあり、方法論の検討もすでに行っている。

次年度使用額が生じた理由

1年目には、本研究の根幹となる、エクソソーム中の糖蛋白を用いて測定可能な量の糖ペプチドを得ることが出来るかどうかを確認する過程で、質量分析で測定可能な量の糖ペプチドを得ることが困難であることが判明した。そのために翌年への繰り越し額が大きくなった。しかし、ターゲットをエクソソーム中の糖蛋白自身に絞ること(初期の研究計画ではエクソソーム中に糖蛋白を分解して得た糖ペプチドがターゲットであった)で、既存に同様な報告もあり、血液よりエクソソーム抽出、エクソソームより糖蛋白抽出、糖蛋白の質量分析での測定(データ①)、血清より既存の卵巣癌関連糖蛋白測定(データ②)からカラー2次元バーコードを作成し、深層学習させることで卵巣癌例と非癌例を判別するアルゴリズムの開発を目指す。この過程を行うことで昨年度の繰越金を用いて研究を行う予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Wisteria floribunda Agglutinin-Reactive Ceruloplasmin:早期卵巣癌バイオマーカーの開発2022

    • 著者名/発表者名
      池田仁惠、矢坂美和、林優、町田弘子、飯田哲士、吉田浩、平澤猛、三上幹男
    • 学会等名
      第64回日本婦人科腫瘍学会学術講演会
  • [学会発表] The utility of FS-C4BP as a prognostic biomarker for epithelial ovarian cancer.2022

    • 著者名/発表者名
      Hayashi I, Momose H, Kashiwagi H, Hayashi M, Machida H, Ikeda M, Ishimoto H, Mikami M
    • 学会等名
      第73回日本産科婦人科学会学術講演会

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公開日: 2023-12-25  

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