研究課題/領域番号 |
22K16876
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
芳川 修久 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60804747)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | キメラ抗原受容体 / メソセリン / 腫瘍微小環境 / 免疫トレランス |
研究実績の概要 |
CAR-T細胞製造に関するプロトコルを決定し、PBMCあるいはCD3陽性細胞へのレンチウイルスベクター法で概ね50%程度の遺伝子導入効率を達成することが常時可能となる製造方法を決定した。CAR構造は最もシンプルなCD3ζとCD28膜貫通ドメインを連結したCARとしており、MSLN発現卵巣癌細胞の細胞傷害性を確認した。これにより抗MSLN CAR-T細胞が安定的に作成できることを確認した。 CAR-T細胞の抗腫瘍効果の評価系については、CFSE染色によるCAR-T細胞の増殖アッセイならびにIFNγ発現をFACSで定量化することにより活性化CAR-T細胞を定量可能とする系を確立した。またKillingの評価としてLuciferase発現×MSLN発現卵巣癌細胞株の樹立をして、発光定量化によりKillingの定量化を可能にした。 CAR-T細胞の樹立と抗腫瘍効果の評価系に加えて、疲弊化モデルの構築に着手した。既報に存在する液性因子を用いて疲弊化を誘導し、上記の抗腫瘍効果評価系によってCAR-Tの機能が抑制されることを確認した。これは再現性を含めて確認していく必要があると思われる。 卵巣癌にMSLNおよびLuciferaseを強制発現させた細胞株を作成し、マウスに皮下投与する動物モデルを用いたCAR-T細胞投与により一定の腫瘍縮小効果が確認された。このモデルをベースにしながら、疲弊化を克服できる機能を付与した新たなCAR-T細胞のin vivoにおける評価モデルとして活用していく予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた初年度として抗MSLN CAR-T細胞の安定作成、CAR-T細胞の抗腫瘍評価系の確立、動物モデルを用いたCAR-T細胞投与プロトコル決定を完了した。 これらにより2023年度において予定している免疫疲弊化状態を克服できる分子の同定に向けた評価系が確立できたこととなり、当初の予定通りの進捗となっている。今後は作成したCAR-T細胞を疲弊化状態に誘導し、CRISPRスクリーニングあるいはいくつかの化合物投与により疲弊化解除を確認する。さらに2024年度に向けては同定された分子あるいは化合物についての機能検証を進める予定としており、全体として当初計画したフレームワークに沿って進捗していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には、抗Mesothelin CAR発現レンチウイルスベクターを作成し、CRISPR-Cas9レンチウイルスベクターでCD8のノックアウトの有効性を確認したうえで、CRISPRを用いてノックアウトすることによるPositive Control表現型を確認する。すでに報告のあるRegnase-1、Tox、NR4A1,2,3のノックアウトCAR-T細胞を樹立し、機能を評価する。CRISPR-Cas9ノックアウトsgRNAプールライブラリを調整し、レンチウイルスを作成した後にPBMCに感染させ、抗腫瘍効果を確認する。活性化/増殖したCD8+T細胞のsgRNAのシーケンスにより標的遺伝子Xを同定する計画である。平行して有望と思われる複数の化合物等を投与することによって疲弊化が解除できるかについても併せて評価することとしている。 2024年度においては、採取した健常成人PBMCからT細胞を収得し、作成した抗Mesothelin CAR発現レンチウイルスベクター等を感染させ、抗Mesothelin CAR-T細胞を作製しこれをControlとして、Regnase-1等のノックアウトを陽性対象とし、標的遺伝子Xノックアウト抗Mesothelin CAR-T細胞を作成する。以下の2つの系を用いて抗Mesothelin CAR-T細胞のエフェクター活性を評価する。in vitroではルシフェラーゼ発現卵巣癌細胞を用いたKillingアッセイ、CFSEによるCAR-T増殖解析、IFNγ発現解析を行う。In vivo抗腫瘍効果の評価では、卵巣癌マウスゼノグラフトモデルを用いる。
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