研究実績の概要 |
本研究の前段階の研究として日本人子宮体癌患者においてProMisE分類が予後予測に有用かどうかを2011-2018年に当院で診断された265名の子宮体癌患者において検証した.265名中POLE変異群/MMR欠損群/NSMP群/p53異常発現群は28/71/109/57例であった.各々の5年生存率は100%/84.8%/87.3%/63.9%であった.以上から日本人集団でもProMisE分類が有用であることを検証した(Asami Y, Kobayashi-Kato M, et al. Br J Cancer.2023;128(8):1582-1591.).この研究集団の中から、予後不良とされる非類内膜癌においてもProMisE分類が有用かどうかを検証した.265名のうち非類内膜癌は50例であり,組織型の内訳は漿液性癌/明細胞癌/混合癌/癌肉腫/その他が13/5/10/19/3例であった. ProMisE分類の内訳はPOLE変異群/MMR欠損群/NSMP群/p53異常発現群が5(10%)/14(28%)/7(14%)/24(48%)例であり,各群の5年生存率は100/85.1/65.5/42.9%であった. POLE変異群5例は臨床進行期がII/III/IVB:2/1/2例と進行癌が多いにも関わらず,死亡例を認めなかった. 癌肉腫はNSMP群およびp53異常発現群に有意に多かった(p=0.02).NSMP群は癌肉腫の5年生存率が0%であったのに対し,それ以外の組織型では100%であった.予後不良群には従来からの組織型による層別化が有用となる可能性が示唆された(同内容は第75回日本産婦人科学会学術講演会で発表した).今後NSMP群に着目し治療標的となる遺伝子異常の同定の他、予後不良因子の探索を引き続き行う.
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