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2022 年度 実施状況報告書

糖尿病モデルマウスに対するニコチンアミドモノヌクレオチド投与による難聴予防の検討

研究課題

研究課題/領域番号 22K16900
研究機関山口大学

研究代表者

津田 潤子  山口大学, 医学部附属病院, 講師 (90777187)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード2型糖尿病モデルマウス / 老人性難聴モデルマウス / 感音難聴 / 聴性脳幹反応 / 内耳蝸牛 / 最小血管障害 / ニコチンアミドモノヌクレオチド
研究実績の概要

糖尿病合併症として感音難聴をきたすことが疫学調査で報告されている。難聴はQOL低下・認知症発症のリスク因子となることから社会的関心が高まっている。我々は2型糖尿病モデルマウスを用いて聴力低下予防について検討している。2型糖尿病モデルマウスTSODは、若年から体重増加、高血糖と尿糖を示す。聴覚は聴性脳幹反応(auditory brain stem response,ABR)検査を行い、対照マウスに比べて難聴を早期から発症することを確認した。組織学的検討では、内耳蝸牛毛細血管の血管面積減少を認め、内耳における最小血管障害を確認した。
TSODマウスを用いて、近年糖尿病への有効性が示されたニコチンアミド(NMN)の糖尿病性難聴に対する治療効果を確認するとともに、作用機序の解明を試みている。本研究の成果は、糖尿病患者の合併症として見過ごされていた難聴に光を当て、その予防並びに治療法の開発に貢献することで患者のQOL改善に役立つ。
研究テーマ1:TSODマウスをControl群、NMN投与群(100mg/kg/日、飲水投与)の2群で飼育する。聴覚評価は聴性脳幹反応(auditory brain stem response,ABR)検査を定期的に行う。聴覚評価が終了した後、側頭骨から内耳蝸牛を摘出し、血管染色による内耳血管組織の評価、有毛細胞、らせん神経細胞障害を観察する。
研究テーマ2:老人性難聴マウスC57BL/6マウスをControl群、NMN投与群(100mg/kg/日、飲水投与)の2群で飼育する。ABR検査を定期的に行い、内耳蝸牛を摘出し組織学的評価を行う。
本研究によって、TSODマウスおよびC57BL/6マウスに対してアンチエイジング効果が報告されるNMNを投与することにより、難聴の早期発症を予防できるか、さらには内耳における老化に伴う組織変化を抑制できるかを明らかにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実験の進捗は、TSODマウスとC57BL/6マウスをそれぞれ通常飼料(コントロール群)、NMN投与群に分けて飼育し、聴覚評価として聴性脳幹反応(ABR)閾値を経時的に測定している。また、体重、血糖値についても経時的に測定を行っている。現時点で、TSODマウスは、NMN投与群で体重は抑制される傾向にあったが、体重、血糖値に有意な差は得られなかった。一方、C57BL/6マウスは、NMN投与群で28週齢の16kHzにおけるABR閾値が有意に抑制されている。また、8kHz、32kHzにおいても有意差は得られなかったものの、NMN投与群では難聴の進行が抑制される傾向にあった。体重は両群で有意な差は見られなかった。引き続き実験を継続していく。

今後の研究の推進方策

内耳蝸牛発現変動因子についてAffymetrix GeneChipを用いて遺伝子解析を行う。
実験終了後は定期的に経過を学会報告し、他施設からの意見も聴取し、また成果をまとめて論文化する予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍のため学会開催が制限され、他施設の研究者と直接検討する機会が減少している。今後は学会も通常開催される予定であり、本研究について発表、検討できると思われる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 難聴モデルマウスに対するニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)投与による聴覚の検討2022

    • 著者名/発表者名
      津田潤子,菅原一真,橋本 誠,山下裕司
    • 学会等名
      第123回 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会総会・学術講演会

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公開日: 2023-12-25  

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