研究実績の概要 |
内耳細胞の再生医療を目的として、マウス内耳有毛前駆細胞(US/VOT-E36)における細胞遊走およびtight junction, epithelial cell polarity 蛋白の変化をみるために様々な増殖因子およびシグナル伝達阻害剤を処置した。TGF-βR inhibitor(EW), EGFR inhibitor (AG), JNK inhibitor (SP), PYK2 inhibitor (PF43), PKCa inhibitor, HDAC inhibitor (JNJ)において細胞遊走能の明らかな抑制がみられた。3細胞間tight junction 蛋白Tricellulinにおいては、TGF-βR inhibitor (EW), EGFR inhibitor (AG), PKCa inhibitor, HDAC inhibitor (JNJ)において明らかな膜への発現誘導がみられた。 さらに内耳細胞増殖および分化に関与がみられるHippo pathwayの阻害剤であるMST inhibitor (MP-1)を処置して、マウス内耳有毛前駆細胞(US/VOT-E36)の細胞遊走およびtight junctionの発現変化を解析した。FOXO3a、YAPのリン酸化およびp63の発現低下を介して細胞遊走能の低下、tight junction proteinの発現亢進がみられた。 難聴のメカニズム解析のために、難聴に関与が知られているHDACおよびautophagyの内耳細胞におけるapoptosisに焦点を当て、マウス内耳有毛前駆細胞(US/VOT-E36)を用いて検討した。HDAC inhibitorであるTSAおよびJNJ処置により明らかなapoptosisの誘導がみられた。mTOR inhibitorでありAutophagy 阻害剤でもあるRapamycin前処置によりHDAC inhibitorsのapoptosis誘導は阻害された。TricellulinはHDAC inhibitorsにおいて膜へ発現誘導がみられたが、Rapamycin前処置においては変化はみられなかった。
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